赤札活動は整理の見える化

そこで、まず整理の際に必要なのは捨てるための判断基準をしっかりと定めることだ。モノを「要る」「要らない」「いつか使う」の3つに分類することが大切だと柴田さんは言う。

「いまから1時間以内に使う。これは要るものです。一方、今後は使わないのなら不要であり、即刻処分します。問題なのは、いつ使うかわからないもの。そのままだと『もったいない』といって必ず残る。そこで期限を設け、それを過ぎたら捨てることをルール化としておけば、在庫にはなりません」

トヨタには「赤札活動(あかふだかつどう)」と呼ぶユニークな処分方法がある。たとえば、あるプロジェクトが終わり、不要になったバインダーなどに赤い付箋を貼って「○月×日に処分」と書いておく。リサイクル先が期限までに現れなければ、もちろん即刻処分。トヨタが得意とする“見える化”の一環ともいえよう。

こうして整理ができたら次は整頓だ。ここで基本原則になるのが「三定(さんてい)」という考え方で、オフィスや工場でどんなモノを置くかという「定品」、それをどこに置くかという「定位置」、そしてどれだけ置くかという「定量」を決める。その際に全員が見やすく、使いやすい置き場所にする。

「どうするかというと『所番地(ところばんち)』を決めるのです。具体的には、オフィスや工場を1つの町のように考え、大型ホチキスならA丁目B番地の棚といった具合にです。中が見えないキャビネットには、備品の写真を貼っておくといいでしょう。これが周知できれば、モノを探す手間が省けます」

さらに、面白いのが「姿置き」である。オフィスなら大型ホチキスやパンチなど、共用の文具の形状をペンなどで示しておく。そうすれば、置き場を間違えず、常に取りやすく戻しやすい状態に整頓されている。さらに使用者の名前を付箋でつけておけば、誰が使っているかを確認することもできる。

それ以外にも、時系列に書類を綴じ込むバインダーは書棚に「縦置き」を原則としている。その際、古い順に並んだバインダーの背にテープを斜めに張って、1冊ごとに切れ目を入れておく。そうすると、抜かれたバインダーのところは線が途切れるため、戻すときに一目でどこに差し込んだらよいのかわかる。