悠木さんも、同じく日々の仕事の所要時間を記録することを勧める。

「“忙しい”が口癖の人ほど、どの仕事にどれくらいの時間がかかるか、把握できていません。まずは時計を見る習慣をつけることから始めて、平均所要時間をつかむことです」

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【1日の行動をすべて細かく記録する】すべての行動を1分単位で記録する。各作業のおおよその所要時間を把握したら、今度は横に見積もり時間を書いておき、実際の記録とのズレを確認。するとさらに正確な時間が見積もれるようになる。

もっとも、アイデアを出したり企画を考えたりするような創造的な仕事は、時間を見積もるのが難しいが、悠木さんによると、経験則から次第におおよその時間をつかめるようになるという。

そうやって算出した平均所要時間をもとに毎日のスケジュールを立てていくと、無理のない予定を組めるようになり、残業も避けられるようになる。

さらに所要時間を記録することで「時間感覚」が養われるため、仮に所要時間を決めなくても、自分にいい意味でプレッシャーをかけることができるようになる。

「脳には“基本回転数”があります。これは簡単に言えば、脳がどれだけ速く動くかということ。時間的なプレッシャーをかけずにいると、脳はゆっくりとしか回転しません。そこで、まめに時計を見るようにすれば、脳はプレッシャーを感じて回転数を上げていきます」(悠木さん)

忙しいときは、「この仕事に何分かかったか」といちいち記録する余裕などないかもしれない。しかし記録→なぞる→修正というサイクルを回していくことで、必要な所要時間を正確に見積もれるようになり、少なくとも「こんなはずではなかった」という「心理的な残業」は回避できる。

一見遠回りでも、まず「記録」。それが残業ゼロへの近道なのである。

 
米国公認会計士 午堂登紀雄(ごどう・ときお)
中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、経営コンサルタントとして活躍。現在はスモールカンパニーを複数所有するビジネスオーナー兼個人投資家として活動。
 
ワークスタイルデザイナー 悠木そのま(ゆうき・そのま)
慶應義塾大学法学部卒業。多様な事業の立ち上げと運営の経験をふまえ、段取りのテクニックとノウハウをメソッド化。産能マネジメントスクールで講座を行い、人気を博す。
 
心理学ジャーナリスト 佐々木正悟(ささき・しょうご)
コペル英会話教室オーナー校長
獨協大学卒業後、ドコモサービス勤務を経て、米アヴィラ大学心理学科卒業、ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年帰国。専門は認知心理学。
(向井 渉=撮影)
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