前出のクラナは、この考えを大きく進めてこう語る。成功した創業者になるためには、よいリーダーが生まれてくるのに必要な条件を社内につくらなくてはいけない。それでも、後継者が十分に育つ前にCEOが亡くなったり、何らかの事情で会社を去ったりして、外部からCEOを雇わなくてはいけない状況が生まれるかもしれない。しかし、そうなっても、マネジメントのインフラはすでに築かれていれば、外から来た新CEOはそれを一からつくる必要はない。

実際、リーダーを社内で育てるという考えは、今日、きわめて重要になっており、そのためハイドリック・アンド・ストラグルズのようなヘッドハンティング会社でさえ、その考えを受け入れている。

CEOはいつ引退するべきか

「リーダーは、自分の代わりになれる人材が大勢出てきたとき、去るべきときを知る」と、クラナは言う。十分に後を任せられると思えるレベルまで次の世代を育て、自分がいなくても大丈夫な状態にできたら「それこそが真のリーダーの本当の証だろう」と。

さらにライベングッドはこう語る。

「リーダーは事業やその見通しに対してわくわくしなくなったら、また、有意義な形で事業に関わっていると感じられなくなったら、退くべきだろう。そのときには、自分にできることはもうすべてやったと、あるいは別の誰かにバトンを渡すときだと感じるはずだ。それに、最も重要な点だが、そうすることで、彼らは会社にとっての長期的な価値を生み出すことになる。私にとってはそれが答えだ」

(翻訳=ディプロマット)