4月1日より電力小売りの全面自由化がスタートする。関連する新サービスも注目の的だ。新時代を迎える中で、押さえておくべきポイントは──。資源エネルギー庁電力市場整備室の小川要室長に聞いた。
小川 要●おがわ・かなめ
経済産業省 資源エネルギー庁
電力市場整備室 室長
──4月から、いよいよ一般家庭でも電気を自由に選べるようになります。あらためてなぜ電力の自由化が必要なのか。その意義についてお聞かせください。

【小川】もともと電力の自由化は、我が国の大きな命題の一つ。2000年より、大口の需要家を対象としたものはスタートしていました。東日本大震災を機に、その流れが一気に加速したというのが実際のところです。

震災では日本の電力のさまざまな課題が浮き彫りになりました。特に計画停電の経験は大きかった。東日本の電力不足に対して西日本から電力を送ろうとしても、周波数が合わずそれができませんでした。電力需要を抑え、需給バランスを調整する必要性を痛感しましたし、多様な電源やサービスを自由に選びたいという消費者の声も高まりました。

こうしたニーズに応えるために、2013年から始まったのが電力システム改革です。新規参入や競争を促す環境を整備することで、電気料金を最大限抑制しつつ、電気を安定的に供給することが大きな狙いです。

──大きな制度改革ですが、進めるにあたって工夫した点はありますか。

【小川】法案を3段階で通していくなど、改革を3つのフェーズに分け、それぞれの段階で条件が満たされているかを検証しながら、着実に進めています。

まず第1弾で解決を図ったのは、やはり電力の需給の問題。災害時にも地域を超えた電力供給を容易を含め、広域系統運用の仕組みをつくりました。

この4月からの第2弾では、電力小売事業への参入を自由化し、一般家庭を含めたすべての需要家が自由に電気を選べるようにします。小口需要家は約8500万軒ありますから、その変化ははっきり出てくるはずです。そして第3弾で、送配電部門を法的に分離します。