CIやブランディングにも進出

当初は企業向けのオリジナルお菓子に特化していたが、その後は業容を拡大し、観光地やテーマパーク、空港などの一般向けショップで販売するお菓子や景品などにも手を広げている。前述したように現在、企業向けは働くお菓子が担当、他はエスプライドが扱っている。

企業との付き合いが深まるにつれて、販売促進やCI(コーポレイト・アイデンティティ)、ブランディング、それに基づいたロゴやホームページ、パンフレット、ツール類の制作、商品開発、キャラクター管理なども行うようになった。

ESSPRIDEの販売用商品。

例えば、あるIT関連会社では人材採用が悩みで、エスプライドにホームページのリニューアルを依頼した。同社は単なるリニューアルではなく、そのIT企業の歴史や理念や強み・弱みなどを精査して、「こびない会社」というキーワードを導き出した。

それを基本コンセプトにサイトだけでなく、オリジナルキャラクターや従業員の名刺などを総合的に制作した。その結果、IT会社のサイトへのアクセスが増え、採用できる人材のレベルも向上し、社内にも一体感が醸成されたという。

こうして、2008年にはブランディング事業を正式に立ち上げ、順調に事業が拡大している。

西川はこう語る。

「たとえ見せかけだけをよくしても、本当のブランディングにはなりません。必要なことはファン作りです。会社の実態と外見を貫く世界観が確立でき、その会社にしか言えないような特徴を抽出できれば、ファンになってくれる人が出てきます」

ある住宅資材を扱う創業115年の老舗企業では、社長が「革新」を重視していたが、ベテラン社員たちからヒアリングすると、その会社に感謝の気持ちを持っている人が多かった。そこで、「よりそう」というキーワードを提案し、115周年の挨拶文を作り、こんな言葉で締めくくった。

「私たちは勝つための道ではなく、愛される道を選びます。私たちが生きる道ではなく、皆さまとともによりそいあえる道を選びます」

この会社の暖かさが伝わってくる文章である。