また、各世帯に設置したスマートメーターから得られる情報の活用も、電力サービスの向上には欠かせません。その点、NECの「クラウド型HEMS」を使えば、スマートメーターで計測したデータをHEMS経由で取得できます。HEMSにて収集・蓄積したクラウドデータを活用し、太陽光発電システムを監視するなど多彩なサービスを提供、付加価値サービスにも活用いただけます。

NECが提供する「電力サプライヤー向けソリューション」の操作画面(上:需要家情報管理システム/下:電力需給管理システム)。顧客管理情報や需給状態などがひと目で分かる。

さらに、多種多様なデータから一定のパターンを見つけ、状況に応じて最適な予測を精度よく自動で選び出す「異種混合学習技術」を応用すれば、専門家がいなくても、天候やエネルギー消費など不規則で膨大なデータから高精度に需要を予測することができますので、無駄のない需給管理につなげることも可能となるでしょう。

また、コミュニティレベルで分散した蓄電池の充放電をリアルタイムで制御し、大きな仮想蓄電池として使用する「階層協調制御技術」は、CEATECで受賞した評価の高い技術です。

加えて、見落とせないのがセキュリティ対策です。電力という公共性の高いサービスを提供する以上、安全性の確保は大前提。情報管理をはじめとしたサイバーセキュリティ対策と、映像解析・顔認証などによるフィジカルセキュリティを連携させた強固な監視ソリューションもご提案しています。

──今後は、製造業や流通、サービス業に対するエネルギーソリューションにも、いっそうの進化が求められます。どう対応しますか。

【松島】政府は昨年、製造業向けの省エネトップランナー制度を流通やサービス業にも拡大する方針を示すなど、産業界全体のエネルギーの有効活用を推進しています。今後は業界を問わず、いっそうのエネルギーマネジメントの効率化が進むでしょう。さらに省エネで生じた余剰電力をグループ間で融通したり、さらには売電して収益を得る方向にも進んでいくと思われます。

こうした流れを受け、NECでは事業者の余剰電力活用ニーズに応えるソリューションの開発にも着手しています。既存のスマートエネルギー技術を生かして、電力需要予測と連携した高度なピークコントロールや、蓄電池を活用して拠点間のピークのずれを吸収する仕組みなども検討しています。

──エネルギー分野において、NECが目指す将来像をお聞かせください。

【松島】電力ビジネスが拡大していく中で、PPSの市場戦略はますます多様化していくと考えられます。そこで必要なのは、各社の戦略に合わせて常に最適な提案ができるパートナーの存在です。ICTを生かした需要予測や発電予測、蓄電池などのエネルギーコンポーネントの制御は、発電側と需要家側のあらゆるシステムとも連携でき、さまざまなサービスへの拡張が可能となります。今後も最先端のICTとエネルギー技術を融合したソリューションでお客様の“成長”を支えるキープレーヤーとなる。これこそが、私たちの目標です。どんな課題でも、まずはご相談いただければと思います。