2016年2月5日(金)

タイの国民食! 卵と鶏、親子の味が楽しめる「ガパオ」

dancyu 2014年4月号

文・加藤ジャンプ 撮影・福尾美雪 教える人:長澤恵
「世界のたまご料理を食べに行きませんか?」。編集部からの1本の電話にときめいた。食っちゃ寝系ライター・加藤ジャンプは、何があろうと、巨人や大鵬がなくとも、卵焼きだけは確保したいタイプだ。その甘い誘いを聞いただけで、心は世界で一番優しい色、すなわち卵色に染まった。向かうは順にアメリカ、韓国、フランス、タイ、英国の5カ国。嗚呼もう我慢できない。卵が先か鶏が先かなんて謎も、もうどうでもいい!
さあスーツケース片手に「世界のふわとろ卵」の旅へ、出発!

目指すはカリッとした白身、黄身はとろ~りのフライドエッグ

次はタイである。ガパオはタイのホーリーバジルの意味で、葉は薄くて柔らかく、清涼感が強い。和名はカミメボウキと言う。

カリカリ白身ととろとろの黄身のフライドエッグ、ガパオ(ホーリーバジル)のスーッと爽やかな香りと唐辛子プリッキーヌの刺激的な辛味の組み合わせは無敵。卵と鶏肉の配分で味わいが変わるのも楽しい。

さて、ガパオといえば、上にのっかっているフライドエッグである。東南アジアでおなじみの、油で素揚げした目玉焼きだ。卵好きはもちろん揚げ物好きにまで秋波を送る、イカしたたまご料理である。

「たっぷりの油の中に卵を入れたとき、花が開くようにつくるのがコツ」。長澤恵さんが卵を油の海に投入すると……ホトトギスが来て鳴くのは卯の花だが、こちらは卵の花がパッと咲くではないか! やがて満開の卵の花の白身の周囲がきつね色に色づく。見ているだけで微笑みの国だ。

このフライドエッグがのったガパオを目の前に出されたら、人は誰でもムエタイ選手のごとき、やる気にあふれるというもの。右手にスプーン、左手にフォークのアジアンスタイルで構え、すぱっとフライドエッグを割る。南方の果実を割ったときにあふれ出るジュースのごとく、とろーりと流れ出た黄身が、辛い鶏肉にみるみるなじんでいく。これにカリッとした白身を少し加えて、口に入れる。辛い、熱い、(卵が)ふわとろ甘い。幸せ。

紀行詩を残したタイの詩聖スントンプーを思いながら汗を拭き、旅はいよいよ大詰めである。

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加藤 ジャンプ