アジア市場を獲れば世界で勝てる

【田原】ところで、御社は自動運転技術をクルマ以外にも応用しているそうですね。説明してもらえますか。

【谷口】たとえばコマツさんと資本提携したり農機メーカー数社と組んで、建設・鉱山機械や農機の自動運転化を進めています。また、来年には自動運転で人の後を勝手についてきてくれる台車「CarriRo(キャリロ)」のリースを開始します。これが倉庫にあると一度に2倍、3倍の荷物を運べます。人数でいうと、10人の集配所なら8人で済む計算です。

【田原】建機に農機、台車。車輪がついていれば何でもいけそうですね。

【谷口】車輪のあるものだけじゃないですよ。この年末からサービス開始を予定しているのが、ソニーモバイルコミュニケーションズと一緒に手掛ける自動運転のドローンです。ビルなどの大きな建築工事では、ゼネコンやデベロッパーが施工管理しますよね。それを自動運転のドローンでやるのです。具体的にはドローンが飛んで現場の3次元マップをつくり、上から俯瞰して工事の進捗や資材の量をチェックします。

【田原】面白い。これは1台いくらで売るのですか。

【谷口】自動運転のドローンを直接販売するのではなく、ドローンで収集したデータを日報として現場監督の端末に届けるサービスを予定しています。価格は1年で1台500万円くらいです。

【田原】最後にもう一度、クルマの話を聞きましょう。谷口さんは世界で存在感を出したいといって日本のロボット産業に目をつけた。自動運転車で、ZMPは世界を獲れますか。

【谷口】そのつもりです。いまはまだ従業員60人の小さな会社ですが、来年には全体で200人に増やす予定です。そこまで増えれば海外に支社をつくって、1割ぐらいの人をあてる余裕も出てきます。もともと社員の半分は外国人という会社ですから、海外展開に壁はないはずです。

【田原】支社はどこにつくりますか。

【谷口】悩ましいですね。開発を重視するならドイツです。ただ、マーケットとしては中国かな。じつは各国の道路交通法は、約60年前に国連で採択されたジュネーブ条約に縛られています。レベル4の無人運転はジュネーブ条約の制約から抜け出さないと実現できないのですが、ドイツや日本、アメリカと違い、中国はこの条約を批准していません。つまり国がオーケーといえば、どこよりも無人運転が普及する可能性がある。交通インフラが整うのもこれからだし、とても魅力を感じています。