2016年1月28日(木)

2020年までに実現! 無人運転車のキーマン【2】 -対談:ZMP社長 谷口恒×田原総一朗

田原総一朗の「次代への遺言」

PRESIDENT 2015年11月30日号

村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影
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ソニー、コマツ、DeNA……次々に有力企業との提携を進めるZMP。自動運転技術で注目される同社を率いるのが、谷口恒社長だ。東京五輪までに無人のタクシーを走らせる――目標実現の算段はいかに。

倒産の危機を救った自律移動技術

【田原】ZMPは自動車の自動運転に特化した会社かと思いましたが、最初は二足歩行ロボットをビジネスにしていたそうですね。どうして二足歩行ロボットを?

【谷口】私はもともとインターネット事業で起業していました。ただ、ネットはアメリカの技術をいち早く日本に持ってきたところが勝ちなので、正直いってあまり面白くなかった。日本ならではの事業がしたいなと考えていたところ、二足歩行ロボットの研究をしている文部科学省の知人から、技術移転を受けてベンチャーをやらないかという話をいただきました。当時はホンダの「ASIMO」、ソニーの「AIBO」が出たころ。この分野なら日本企業でも存在感を出せると思い、国と契約して新たに会社を設立しました。ちなみに社名のZMPは、二足歩行ロボットが動くときのゼロモーメントポイント(zero moment point)理論にちなんでつけています。

【田原】それで04年に「nuvo」というロボットをつくった。これは民生用ですね。

【谷口】はい。家庭用二足歩行ロボットで、声をかけるとこっちに歩いてきたり、ダンスをしたりします。いわば高級な玩具ですね。機能はもう一つあって、携帯電話で連絡すると、ロボットの目についたカメラで家の中を映して、その映像を遠隔で見ることができます。実際は警備や防犯というより、外からペットの様子を見て楽しむという使い方のほうが多かったみたいですが。

【田原】「nuvo」は売れたのですか?

【谷口】売れました。愛玩用はすでに「AIBO」が世に出ていましたが、人型ロボットで量産されたものは当時なかったですから。台数でいうと、58万8000円の普通のモデルが500台、金沢の漆職人の会社と提携した漆塗りのモデル88万8000円が100台売れています。

【田原】その次に開発したのが、07年に販売した「miuro」。これはどういうロボット?

【谷口】「nuvo」は売れたものの、いくつか課題も見つかりました。人型ロボットは移動がヨチヨチ歩きで、段差があるとすぐ倒れます。また、価格も高かった。では、どうすれば移動を安定させ、価格も安くできるか。そこで開発したのが、二足歩行のかわりに二輪で動くロボット「miuro」です。ただ動くだけでは面白くないので、音楽を運んでくれるという付加価値をつけました。たとえば朝5時半にヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」で起こしてくれというと、朝、充電ステーションから自動で寝室まで来て音楽を流してくれます。これも売れて、最初つくった500台は完売しました。

【田原】勝手に寝室まで来てくれるって、自動運転みたいなもんだね。

【谷口】そうなんです。じつは私たちが自動運転にシフトしていくのも、「miuro」がきっかけでした。

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