2016年1月29日(金)

これぞフランスの味! 香りが格上「トリュフオムレツ」

dancyu 2014年4月号

文・加藤ジャンプ 撮影・福尾美雪 教える人:関岡弘美
「世界のたまご料理を食べに行きませんか?」。編集部からの1本の電話にときめいた。食っちゃ寝系ライター・加藤ジャンプは、何があろうと、巨人や大鵬がなくとも、卵焼きだけは確保したいタイプだ。その甘い誘いを聞いただけで、心は世界で一番優しい色、すなわち卵色に染まった。向かうは順にアメリカ、韓国、フランス、タイ、英国の5カ国。嗚呼もう我慢できない。卵が先か鶏が先かなんて謎も、もうどうでもいい!
さあスーツケース片手に「世界のふわとろ卵」の旅へ、出発!

冷蔵庫から取り出した卵でそのままクッキング

卵は生きている! そう確信したのが次の行き先であった。その意味は……。

トリュフの言わずもがなの香りが、卵から漂う夢の世界。香りだけの違いだが、いつものオムレツとは別物の美味しさに変わる。きめ細かな表面とは対照的なとろとろの中身に、トリュフがからめば口中は燃えるパリ祭。

さて、「ふらんすはあまりに遠し……」と朔太郎は残したが、私は行く(といっても都内)。いただくのはオムレツ。しかもトリュフオムレツである。チョコレートではなく、世界三大珍味のトリュフなのである。セ・マニフィーク!

「これが1週間、トリュフと一緒に密封保存した卵です」。関岡弘美さんの言葉の意味が、にわかには理解できなかった。卵とトリュフを一緒に保存するとどうなるというのか。しかし殻を割った卵の香りを嗅いで圧倒された。卵じゃなくてトリュフの香りなのである。トリュフと一緒に眠っているうちに、卵たちは殻を通して呼吸し、あの香りを身にまとってしまったのである(こっそり1ついただいて白いご飯にかける誘惑にかられたが堪えた)。卵は生きている!

「卵をしっかり冷やしておくのが、中をとろとろに仕上げるコツなんです」。なるほどと得心した私だったが、仕上がったオムレツを前に気もそぞろ。白昼、白い皿の上に黄色い三日月、その上を黒うさぎのようにトリュフが跳ね回る……。

がぶり。そして私の心はパリへ。嗚呼、トレビアン!

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加藤 ジャンプ