「女性は、自分の周りの人・モノ・コトを極めてよく観察しています。発信されるメッセージが微弱なものでも察する能力に長け、また短い時間内でも“情報”のディテールをしっかり吸収します。体全体がセンサーのような構造で、常にアンテナを張り巡らしています」(五百田氏)

女vs女の場合

外見チェックは、いわば女の“専売特許”。だから、恋愛対象となる異性はもちろんのこと、同性へのチェックも決しておろそかにしない。

「見た? 高そうな靴履いてたね」「うん、ネイルもキレイだった」「バッグはエルメスの新作だし」

じろじろ見たわけでもないのに、膨大な量の気づきを得る。女は五感センサーのスイッチをオンにし、センサーの精度を高める。相手としっかり会話をしながらも、細部に神経を配っているのだ。

初対面でも旧知の仲でも、会った者同士、しばし水面下での情報戦を繰り広げ、時に表面的な情報を深く読み解いていく。そんな“品定め”アプリが女の脳内にはインストールされているのだ(よって、一部を除き、同性から見られている意識も強く、男より身だしなみにエネルギーを注ぐ)。

さて、そうやって頭のてっぺんから爪の先までサーチ合戦をした後、彼女たちはどうするのか。

「褒め合うのです。『そのブローチ、かわいい』とか『ちょっと痩せた?』」とか。多分に社交辞令の要素も含みますが、互いの長所を指摘し合うことで友好的な雰囲気づくりに努めます。多くの女性は先天的に争いを好みません。褒める行為は心理学的に、あなたに危害を与えませんよ、というメッセージでもあるわけです」

ただし、表向きには全方位外交、もしくは八方美人型のコミュニケーションを求めるものの、生理的に合わない同性が存在するのも確かだ。

その場合、何かの拍子で関係がこじれると“全面戦争”となる公算が大きい。「センスが悪い、あの服、どこで買うの」「メイクは上手だけど、肌荒れがひどい」といった悪口陰口の応酬で融和的ムードは一変。

ヘアスタイルから、顔のパーツ、ファッション、メイク、アクセサリーの小物にいたるまで、つぶし合いの様相を呈するのだ。「嫌いな人の外見は、全部嫌い」。そんな全人格を否定する非情さは、女vs女の特徴といえる。

一方、男はどうか。平和的な横のつながりを重んじる女に対して、男は常に「縦」関係のコミュニケーションだと、五百田氏は解説する。