▼数%のユーザーにカネを出してもらう

IT企業の収入源はほかにもある。

「無料で使えるけれど、ユーザーが詳細な検索をしたり過去記事のクリップができたりする機能を有料化し、一部のユーザーに課金してもらう“戦略”も採用しています」(藤原氏)

有料・課金の方法は、例えばこうだ。

・ユーザーが無料で使える日数に制限を設け、それを超えた場合は有料プランに移行しないと機能が使えなくなる(時間制限型)。
・ 無料で利用できる機能は一部に限定して、フル機能を利用したい場合は有料とする(機能制限型)。
・ビジネスで使う場合は有料にする(商用課金型)。

図を拡大
ソーシャルゲームでユーザーが100円課金を支払うと

藤原氏は語る。

「ユーザーの中で課金や有料化に応じたりする人の割合は数%ですが、無料で使えるようにして囲い込んでおけば、将来、課金してくれるかもしれない。それにたとえ課金ユーザーでなくても『広告を見る人』などにはなるのでムダな存在ではありません」

ソーシャルゲームのGREEやモバゲー、「パズドラ」のガンホー・オンライン・エンターテイメントは多くのゲームを無料配信している。ユーザーはいつも無課金で楽しむことは可能だが、配信側はそんなお人好しばかりではない。

「ゲームを有利に効率的に展開できるアイテムなどを用意して、ユーザーを『もっと速く先のステージに進みたい』『さらに上のレベルへ行きたい』という気持ちにさせます。そうやって徐々に稼ぎの源泉である課金ユーザーに転換させていくのです。ゲームの世界にハマったユーザーは、『1回だけ』とお金を出すと、もっと目標をクリア(攻略)したいという衝動・欲望が抑えられなくなり、“課金地獄”からなかなか抜け出せなくなるのです」(同)

商店街や百貨店が頻繁にセールやイベントを開催するように、オンラインゲームでもユーザーにポイントなどをご褒美することで引き寄せるなど、人間心理や感情を知り尽くした戦術を駆使し、ロングテールで儲けるのである。