最悪の事態を想定すれば現実はそれよりましになる

<strong>ドトールコーヒー名誉会長 鳥羽博道</strong>●1937年、埼玉県生まれ。62年ドトールコーヒーを創業し、「カフェ コロラド」「ドトールコーヒーショップ」「エクセルシオール カフェ」など幅広いチェーン店ブランドを展開。「少なくとも人を不幸にしない」と思ってやってきた。
ドトールコーヒー名誉会長 鳥羽博道
1937年、埼玉県生まれ。62年ドトールコーヒーを創業し、「カフェ コロラド」「ドトールコーヒーショップ」「エクセルシオール カフェ」など幅広いチェーン店ブランドを展開。「少なくとも人を不幸にしない」と思ってやってきた。

ドトールコーヒーショップでは1杯200円のコーヒーを売っています。バブル景気のころは「なんと細かい商売を多くの人々(FC店オーナー)にやらせているのか」と申し訳ない気持ちが先に立ちました。しかし少額であるうえ、洋服や小物類とは違って毎日飲んでもらえるのがコーヒーです。そのお陰で、今回の世界同時不況においてもその影響は軽微なものに済んでいます。最近は、なんとありがたい商売をしているのだろうと思うようになりました。

ただ、私自身は人から「敏感すぎるのではないか」と思われるくらい、会社経営に対して、いつも強い危機感を抱いています。たとえば大手金融機関の破綻が相次いだ1997~98年にかけて、私は「恐慌に突入するおそれがある」と見て、全従業員が2年間安心して働ける環境をつくるため銀行から資金を借り入れました。どんな不況に陥ろうと、2~3年すれば必ず景気は上向きます。その間、創業社長であれば給料ゼロ、役員は3割カット、部長は2割カット、一般社員は最悪でも1割カットとして、不況期を耐え忍ぶための資金余力を持っておきたいと考えたからです。