ここで鉃鋼ビルディングの歴史を簡単に振り返っておこう。運営会社の前身は、1888年に広島県呉市で創業し、船具類や機械の販売、建設業を手がけた増岡商店。やがて第二次大戦後は復興の一翼を担うべく東京へ進出した。1951年、第一鉃鋼ビルディングを開業。竣工を待たずに入居契約していた企業の多くが鉄鋼関連だったことが名称の由来である。54年、南隣に第二鉃鋼ビルディングも落成した。

「第二ビルには、他のビルに先駆けて全館空調を設計段階から取り入れ、第一ビルにも追加して導入しました。当時の社長は、何より『働く皆様が快適に働けること』を重視したのです」

このDNAは新たな鉃鋼ビルディングにも受け継がれ、しかも環境性が両立している。例えば、窓は断熱性と日射遮蔽性に優れた全方位Low-e複層ガラス。ブラインドは太陽光追尾型の自動制御。照明は全館LEDだ。

また近年、社員が働きやすい職場づくりはCSRの一環でもあり、オフィスレイアウトが重要性を増している。

「そこで企業様が必要とされるスペースの規模等に応じ、ご契約形態を小割の区画単位、フロア単位、バンク単位とそれぞれに応じたスペースを用意させていただいています。一フロアは平均約2370平方メートルで、天井高が2.95メートル。“アウトフレーム工法”を採用し、柱による室内の凹凸をなくしました。さらに開放的な無柱空間を実現させているため、自由なレイアウトが可能です」

丸の内で第一号のサービスアパートメント

(上)格調と落ち着き、上質さを備えたエントランスロビー。(中)開放的な無柱空間を実現したオフィスフロア。レイアウトの自由度が高まり、働きやすい職場づくりに貢献する。(下)併設するサービスアパートメントの室内。世界的に有名なサービスアパートメントの運営会社「オークウッド」がサービスを提供する。

本館に連結する南館では、丸の内で第一号となるサービスアパートメント(全123室)が注目だ。短期から長期滞在まで、単身からファミリーまで対応。運営にあたるオークウッドの最高級ブランド「プレミア」として、部屋とサービスは高級ホテルに匹敵するクオリティを誇る。

「海外のエグゼクティブの方々が丸の内をはじめ、日本中でビジネスの成果を上げてくださるよう、空港へのアクセスが良好で、洗練された心地よいサービスアパートメントを完備しました」

南館には、オフィスで働く人々に便利なショップやレストラン、カフェ、クリニック、フィットネスクラブなども多数入居している。そこには、もちろん一般の人々も訪れることが可能で、鉃鋼ビルディング周辺の人の流れは大きく変わることだろう。きっと、新たな活気が生まれるに違いない。

生まれ変わって、地域に新風を吹き込む鉃鋼ビルディング。増岡社長がグランドオープンへの思いを語る。

「ここを人・街・時をつなぐ拠点にしたいのです。入居してくださるテナント様同士やこのエリアに集まるさまざまな方々をつなぎ、コミュニケーションを促す。日本のウォール街と呼ばれる兜町と大手町の中ほどで日本経済の中心地をつなぐ。そして私たちの歴史を東京の未来につなぐ──。2月4日、グランドオープンの瞬間から次の時代を見据え、常に先進的なオフィスビルの姿を追求し、企業様と社会の持続的成長に貢献していきます」