八重洲、丸の内を中心とする東京駅の周辺は、誰もが認める日本屈指のオフィス街だ。その玄関ともいえる丸の内一丁目に立つ鉃鋼ビルディングが、2月4日にグランドオープンを迎える。60余年の歴史を経て全面的に建て替え、地上26階建て「本館(オフィス棟)」と同20階建て「南館(商業棟)」が竣工。最高点まで約135メートル、全長約200メートルを誇っている。

東京駅隣接の好立地
「安全と安心」も追求

増岡祥文●ますおか・よしふみ
株式会社鉃鋼ビルディング
代表取締役社長

新しい鉃鋼ビルディングの魅力について、同ビルを経営する増岡祥文社長は、まず立地の優位性を挙げる。

「東京駅の八重洲北口に隣接している上、地下鉄・大手町駅にも地下通路で直結しています。地下鉄・日本橋駅も至近。利用できる鉄道は、計14路線にも上ります。さらに、1階に設けた羽田および成田空港へのリムジンバス乗り場と待合ラウンジは、羽田空港の24時間化にも対応します」

もう一つ、増岡社長が強調するキーワードは「安全と安心」だ。エントランスのセキュリティゲートや各階のセキュリティドア(オプション)など侵入者対策には万全を期している。

また、建て替え前から注力してきた耐震対策をさらに進化させ、エリアで初めて“中間層免震構造”を実現したほか、テナント企業のBCP支援に力を注ぐ。

「関東大震災クラスの大地震でも影響を最小限に抑える設計としました。電力、水、食料も、3日間程度は賄えます。定期的な防災訓練も行い、丸の内のBCPスタンダードとなる『先進・都市防災ビル』を目指します」

共用部の非常用発電装置は、重油専用と重油・ガス兼用の2基を備え、テナント用非常発電機設置スペースも確保。防災用品の備蓄倉庫もある。

旧鉃鋼ビルディングでは東日本大震災の発災時、貸会議室に帰宅困難者を誘導し、社員食堂で食料を提供した。「今後も万一の際の地域貢献は、重要な使命の一つ」と増岡社長は言う。

開業以来のDNAで快適性・環境性を実現

1957年当時(右)と今年グランドオープンする鉃鋼ビルディング(左)。「先進的な技術や設備を積極的に取り入れる」というDNAを継承し、生まれ変わったビルでも、最高クラスの快適性、安全性、環境性などを追求した。

建て替えは行っても、ビルの名称は変えなかった。本館の1階ロビーを飾る格子や照明のデザインも以前のものを踏襲。かつての天然石の壁も1階エレベータホールに残した。いずれも伝統ある趣が、先進のオフィスビルに重厚感を添えている。