振り返ることで、進むべき道が見えてくる

第3の問いはどうしてそれをやりたいのか。その仕事が本人にもたらす意味や価値だ。これが感じられないと、どんなに好きなことでもやがて空しくなる。

「自分ができるし、好きだと思ってやっていることなのに違和感を感じる人は、第3の問いをクリアできていない可能性があります。それはなぜなのか、どうすればしっくりくるのか。チェックしたほうがいいでしょう」

夢とはこの3つの問いが交わる部分だ。自分を見つめ直すことで、あまり自覚してこなかったことや、将来の目標を再確認することができる。自分についての洞察が深まると、残りのキャリアをどう過ごすか、真剣に考えざるをえなくなる。いうまでもなく職業が幸福、人生の満足度に占める割合は大きい。独立したいのか、役員になりたいのか、転職すべきなのか、社内ベンチャーを立ち上げるべきか、それとも……?

仕事の試練の場で、その人の才能、動機、価値観が本格的に試される。自分が望むキャリアと、組織から与えられるキャリアのギャップに悩むこともあるだろう。

「目標がはっきりしていれば、大きくキャリアを変えることもそれほど問題ではない。むしろ、前よりも人生で本当にやりたいと思っていたことに近づいたという満足を味わうようです」

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▼自分が自分をどのようにとらえているか、自己イメージのチェックです。3つの問いの答えを、キーワードだけでよいので書いてみましょう。
(1)自分は何が得意か?
(2)自分はいったい何をやりたいのか?
(3)どのようなことをやっている自分に意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか?
 
神戸大学大学院経営学研究科教授
金井壽宏
(かない・としひろ)
1954年生まれ。京都大学教育学部卒業。組織のなかで生じる人間にかかわる問題に対して、個人にとっても組織にとっても創造的な活動を促進するという視点で様々な研究を行っている。
(構成=遠藤 成、大塚常好)
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