大使館のサウナで裸の女子会トーク

▼ビジネストップの女性たちは、子供と夫の話に花咲かせる

そんな疑問を解明する機会が訪れたのは、今年の夏のこと。以前、取材を通して仲良くなったフィンランド大使館の広報さんから、突然謎めいたイベントへの招待が届いたのだ。

そのイベントとは、言うなれば「女性だけのサウナ外交ナイト」。招待客は、東京・広尾にあるフィンランド大使館の中にあるサウナに入り、会話を楽しむというもの。

日本にありながら異国。普段は中に入ることのない海外大使館の中に、仕事でもなく入れる上に、初めて会う女性たちといきなり裸で仲良くお話を楽しみましょう、というのである。興味が先走ったものの、さすがに「は、裸ですか?!」と電話口でたどたどしくなってしまった。

フィンランド大使館内に飾られたクリスマスツリーは一部和紙を使っている

「一応バスローブやタオルもありますので、気になるようなら巻いてサウナに入れるので大丈夫ですよ」と全く特別なことでもないかのように、優しく答える広報さん。そうかよかった、と安堵し、「じゃあ、ぜひ伺います!」と言った私に、電話を切る間際に広報さんがぽそっと言った。

「よかったですー! ほかにも国際機関など日本を代表する女性たちがいらっしゃいますから」

「タオルも持ってきてね」と言うような軽い口調だったが、電話を切ってから青ざめた。アルファベットが3つか4つでできた有名国際機関の、しかもトップ! 

自慢ではないが、ある程度の英会話はできてもビジネス会話をできるほどの英語力も知識も持ち合わせていない。しかも、日々細々と仕事をしている雑誌編集者が、そんな女性トップリーダーたちに囲まれ、しかも裸でなんの話をしろと言うのだろうか。

そもそも、裸じゃ名刺も持っていけない。肩書きなんてお互いに関係ないのだろうが、女性トップともなればきっと肉体も鍛え上げて美しいのだろう。そこにどんな姿で入って行けと言うのだろう……。

自分の知識を増やすにも、体を磨きあげるにも、どちらも一夜漬けではどうしようもないことは明白過ぎる。一緒に招待されたフィンランドに長年住んだ経験のある女性と待ち合わせて向かうことにした。いざとなったら、彼女の動作を真似していけばいいのだ。