3年間で売上高10億円に挑む

これを契機に、コンテンツ制作や放送事業にも乗り出した。新商品の開発秘話などをストーリーに仕立てて映像化し、それをCS放送「日経CNBC」や「BSジャパン」の放送枠を買い取って流すビジネスだ。すでに全体の売上高5億5000万円のうち約1億円をコンテンツ事業で稼ぐ。

岡田氏は言う。

「シュリンク包装の機械を、食品や医薬などの世界に売り込む際、お客さんから新商品開発の苦労話などをよく聞きます。それ自体が商品PRのコンテンツになるわけです。NHKでかつて人気番組だった『プロジェクトX』のようなイメージです。映像化したものは、展示会などでも再利用できます」

さらに日本テクノロジーソリューションの社員教育強化のためにもコンテンツビジネスを利用する。「新入社員が機械を売るためには専門知識も必要だが、会社や製品をPRしませんかと言ってお客さんに入り込んでいく方が簡単」(岡田氏)という考えからだ。

「エナジーバー」は水やお湯にまぜて手軽に飲める、溶かして飲めるスティックタイプのサプリメントシリーズ。

このコンテンツ事業に加え、今年5月には子会社「aun(あうん)」を設立、「美と健康」をコンセプトに健康食品などの販売を新規で始めた。これも契機は、シュリンク包装の機械ビジネスにある。5年前から、機械の生産販売だけではなく、シャンプーやスキンケア製品などを自社で受託して包装する「パッケージング事業」を開始した。その事業を通じて、健康や美容関連の内需はまだ伸びると判断。第1弾は、OEM供給を受けて自社ブランドで、「エナジーバー・シリーズ」と題し、「すっきり青汁」「うるおうセラミド紅茶」「もえる黒しょうが」といったスティックタイプで飲みやすい健康食品分野に進出したのだ。「オフィスグリコ」のような売り方をしたり、通信販売を強化したりする方針だ。海外進出も視野に入っている。

岡田氏は「我が社のこれまでのビジネスはBtoBが中心だったが、敢えてBtoCにも挑戦して、自力で土俵を作ってみたい。消費者の気持ちを『阿吽の呼吸』くみ取るという思いから社名も付けた。個人客のファンもつかみ、この3年間で企業のステージを変えて売上高10億円に挑む」と語る。

生き残ることができる企業は規模が大きいからではない。マンモスが死滅してしまったのと同様に、環境の変化に耐えられない企業は発展しない。ガラパゴス島の鳥は、餌を取る環境の変化に合わせて嘴の形が変わっていったそうだ。日本テクノロジーソリューションという企業が変身していく有様は、ガラパゴス島の鳥の進化を見ているようでもある。

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