流れを理解しつつ、流れに乗らない独自の経営方針

「私製ハイブランド」に絵柄を提供する北川氏は、数々の受賞歴を持つ国際的なグラフィック・デザイナー。国内の中小企業から世界的な高級ブランドまで、様々なクライアントのデザインを手がけてきた。

北川氏のデザインには、同氏が社長を務めるグラフ株式会社(GRAPH)が印刷会社であることが生かされている。北川氏の下でGRAPHは、業界の流れを理解しつつ、流れに乗らない独自の経営方針を貫いてきた。

第1にGRAPHは、専門特化の流れには乗らず、逆にありとあらゆる印刷を手がける道を模索してきた。とはいえ、GRAPHのような小さな会社が設備を増やそうとしても、すぐに壁にあたる。

では、どうするか。GRAPHはアライアンスを進め、汎用的な技術の印刷については連携先の他社に発注。半面、多くの発注を見込みにくい特殊な印刷や加工を自ら幅広く手がける。専門特化が生み出す規模の経済性については、他社との連携を介して享受することにし、それ以外の特殊なジャンルを引き受けるのだ。そうしていると、今度は駆け込み寺のように、他社からGRAPHに特殊な技術の仕事が回ってくる。

たとえば、高度な技能を必要としない印刷でも、特殊なインクを用いてユニークなデザインが実現することがある。このような場合、GRAPHは、印刷については連携先の他社に委託する。一方、インクだけは特殊なのでGRAPHから他社に販売し、使ってもらう。流れに乗るものと乗らないものが連携をすることで、デザインの幅が広がっていく。