アフィリエイトよりさらに市場規模が大きいと言われている「せどり」の場合はどうか。

「せどりは、たとえば古書店で古本を安く購入し、その価値がわかる人に高く売って利益を出す古物商のような商売。実際には、オークションサイトなどを利用して利ざやを稼ぎます。サラリーマンなどは、出張先で商品を仕入れるケースもあるのだとか。“素性が明かされない”“足がつきにくい”という点では、アフィリエイトと同様です」

たとえマイナンバーが導入されても、ただちにこれらの収入が捕捉されることもなさそうだ。なぜなら、マイナンバーが入り込む余地がないのだから。

「とはいえ税務署が一番狙っているのは、申告をしていない人。特にネットを用いた電子商取引に対しては、捜査網がどんどん発達しており、専門部署の設置も全国に広まりつつあります。これまで申告してこなかった人にとっては、マイナンバーよりそちらが怖いのではないでしょうか」

では、ASPに税務調査が入ったらどうなるか。

「ASP側は、経費としてどこへ支払ったかという実績を見せる必要があります。その際、たとえば50万円ずつ毎月支払っている相手がいたとしたら、その人が目をつけられる可能性は十分にあります。『無申告』がバレれば、過去に遡って重いペナルティが科されます。それまでの儲けのかなりの部分が水の泡となって消えては、もったいない話です」

しかも、その後は定期的に税務調査が入るようにもなりかねない。

「『会社に副業がバレるのが怖いので申告しない』という人もいますが、それは杞憂にすぎません。住民税を『普通徴収』にして自分で納付すれば、基本的に税金をきっかけに会社にバレることはないのですから」

税理士 福島宏和(ふくしま・ひろかず)
個人事業者の確定申告を専門とする。なかでも、フリーランス、サロン、カウンセラー、アフィリエイターほか比較的新しいジャンルの業種に強みを持つ。著書に『フリーランス・個人事業の絶対トクする! 経費と節税』がある。
(高橋郁子=撮影)
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