米大統領バラク・オバマ氏といえば「Yes we can」。これはかつて敗北スピーチの中で使われたフレーズだが、流行語となり、何度もメディアに取り上げられた。このように、演説やインタビューにおいて、内容を印象付けるためにメディアに引用される短い言葉を「サウンド・バイト」という。

「伝えたいメッセージ」と「伝わるメッセージ」は違う(参院選敗北会見後の菅首相)。PANA=写真
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「伝えたいメッセージ」と「伝わるメッセージ」は違う(参院選敗北会見後の菅首相)。PANA=写真

サウンド・バイトをうまく演説内に取り入れることでメディア操作する手法は、レーガン元大統領の時代に始まった。ジョージ・ブッシュ元大統領の「悪の枢軸」、小泉純一郎元首相の「私が自民党をぶっ壊します」も有名である。

スローガンやキャッチコピーとの違いは、メディアに選ばれるものであるため、伝えたい内容や本来の文脈とは関係なく引用されることがあるということ。不用意な発言がサウンド・バイトとなる危険性もある。たとえば、菅直人首相が先の参院選時に記者会見で述べた「(自民党の消費税率10%案を)参考にします」が失敗例だ。インパクトのある回答であったばかりにこれがサウンド・バイトになってしまい、参院選の争点はここに集中してしまった。

同志社大学政策学部教授のオフェル・フェルドマン氏は「日本の政治家は言葉の重要性を理解していない」と指摘する。米国の政治家はスピーチライターやスピンドクター(情報操作の専門アドバイザー)を抱え、常にマスメディアを利用することを考えている。サウンド・バイトで世論が大きく変化することを認識しているのだ。日本の政治家がサウンド・バイトに無頓着なのは、裏を返せば国民にメッセージを伝える気がないということか。