製造業の人事制度は「バランス型」

グラフは、企業規模ごとの年齢別・年間賃金(時間外手当含む)の比較です。

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製造業 企業規模別 年間賃金比較(時間外手当含む)

やはり、賃金においても、製造業は日本産業の縮図といえるでしょう。企業規模ごとに明確な賃金格差を保ち、20代から50代後半までキレイに年功カーブを描いています。ちなみに、全産業平均のグラフを作成しても、製造業のグラフにほぼ一致します。

自動車業界であれば、トヨタ、日産などの自動車メーカーや、アイシン精機、デンソーといった中核部品メーカーが一番上の線。その下請けである中堅・中小部品メーカーが真ん中の線、そのまた下請けである町工場が一番下の線、ということになります。

特に、社員数1000人以上の大企業において、50代後半でカーブの下がりがキツイのは、役職定年や昇給抑制、子どもの独立に伴う家族手当減少などが影響しているからです。中には、55歳や57歳で明確に給与水準のカットを行う会社も、存在します。

製造業の人事制度・給与制度の特徴は、各部門に配慮したバランス型の体系を採用しているケースが多いことでしょう。

製造業の組織構成は、製造部門、研究・開発部門、技術・生産管理部門、営業部門、管理部門など、部門・職種が多岐にわたっています。当然、それぞれの部門や職種で求められる具体的な役割や職務は、大きく異なっています。

このように、部門間で業務内容や期待役割・成果が大きく違う中では、それぞれの部門に属している社員を同一線上で評価・処遇するのは、無理があります。しかしながら、横並び主義が強い日本では、全ての部門で共通の人事制度を採用している企業が少なくありません。

世界標準ともいえる「職種別賃金」を導入するメーカーが少数派であることも、横並び体質を物語っています。「職種別賃金」とは、1つの会社の中でも、営業や開発、製造といった職種ごとに給与制度が異なるしくみです。たいていの外国人に、「営業マンにも工場生産職にも、同じ給与制度を適用している」というとビックリされますが、日本人にとっては特に不思議なことではありません。

もちろん、メーカーの中にも、本社部門と工場部門の賃金を分けているケースは存在します。あるいは、製造部門を別会社化することで、実質的に「職種別賃金」を実施している会社もあること事実です。しかし、同じ会社の中では「みんな一緒」が、多くの製造業の特徴なのです。

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