田原氏への質問:古い業界で新しいことを成功させるには?

【田原】松田さんは築地市場を中心とした古い流通にとらわれず、独自のルートを築いた。常識や慣習に縛られない挑戦は、消費者も大歓迎。ただ、新興勢力は既得権益を守りたい勢力から激しい抵抗を受ける。このとき一切妥協せずにケンカをするのか。それとも認めるところは認めつつ共存を目指すのか。

僕は既存勢力と真正面から戦う人が嫌いではない。ただ、それがいい結果につながるとは限らない。旧来のビジネス慣習に挑戦した堀江貴文は逮捕され、既存政党との対決姿勢を鮮明にした橋下徹の大阪都構想も頓挫した。この国で新しいものを根づかせたければ、ケンカは我慢し、したたかに共存する戦略が重要かもしれません。

遺言:ケンカは我慢。したたかに共存せよ

田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所入社。東京12チャンネル(現テレビ東京)を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。若手起業家との対談を収録した『起業のリアル』(小社刊)ほか、『日本の戦争』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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