労働力人口の減少により、採用市場が過熱している。求人メディアは複数登場し、採用ルートの多様化が進んでいる。この様な環境下で、採用担当者の負担は増すばかりだ。アルバイト、パート、派遣から正社員まで、多種多様な雇用領域に携わるリクルートジョブズの安田裕介氏は、「採用業務はどんどん煩雑になっており、その苦労は大変なもの」と語る。それを解決する手立てについて、詳しい話を安田氏に伺った。

担当者にのしかかる、採用業務の負担とは

現在の採用市場において、採用担当者は大きな課題を抱えている。その詳細について、安田氏が詳しく説明する。

株式会社リクルートジョブズ
事業開発室部長 安田裕介


2015年4月就任。採用プロセスにおけるトータルソリューション、 RPO(採用プロセス最適化)事業を担当。

「人手不足が進む中で、さまざまな求人メディアが登場してきました。併せて、採用活動を行う企業は、自社サイトでの募集もかけるようになりました。その結果、採用担当者はそれぞれの求人メディアの管理画面にログインし応募対応をしたり、さらには自社サイトでの募集も行ったりしなければならず、非常に手間がかかっています」(安田氏)

採用を行う上で、複数の求人メディアに出稿するのは、今や当たり前の手法。しかし、各求人メディアの管理画面にはログインIDやパスワードが存在し、それらの管理と定期的なアクセスは、担当者にとって煩雑極まりない作業だ。

また、複数の求人メディアを扱うことで、採用活動全体の把握が難しくなるのも事実。全体でどれだけの応募があるのか、何人ほどの採用が見込めるのかなどの現況が分かりにくいからだ。それは、採用活動における改善点や、次の採用へ向けた課題なども見えづらくしてしまう。

採用担当者にのしかかる、業務の負担。こういった状況に悩む声は、数百人規模の正社員を採用する大企業だけでなく、1年を通してアルバイトやパートを募集する飲食店や小売店の方からも多く挙がってきているという。

「特に大変そうだったのは、アルバイトやパートの採用を行う飲食店や小売店の方々。多くの場合、こういうお店では店長の方が採用業務を担っており、普段の業務と並行してこなしている状態です。その中でいくつものメディアを扱って、さらに自社サイトでの募集も行うのですから、大変なことは明らかでした」(同)

これらの課題は“担当者の負担を増やす”ことにとどまらず、“採用機会の損失”にもつながると安田氏は言う。せっかく応募があっても、忙しさに煩雑さが相まって、応募者一人ひとりと向き合うことができなければ、現場で活躍できる人材を見過ごしてしまうことにつながるからだ。安田氏は、「こうした状況を改善することは、活躍できる人材の“採用機会の損失”を防ぎ、“人手不足”を解消することにもつながる」と語る。