この人に指導してもらえば、いい結果が出るに違いない

彼は、この解決方法をNHKテレビの生出演の際に語った。全国民の前に解決法を提示したから、ふたつの協会の幹部は粛々と実行するしかなくなったのである。彼は番組のなかで、ふたつの組織の幹部を叱りとばし、現場の選手を激励し、しかも、バスケットボールファンに対して「安心しろ」と語りかけた。見事な作戦ではないか。

偉大な広報マンはアイデアマンであり、幹部を叱った教育者であり、現場の選手にとっては指導者だった。

番組を見ていたわたしはふと思った。

「そうか。この人に何かを指導してもらえば、いちばんいい結果が出るに違いない」

では、何がいいか。やるとすればゴルフしかない。ゴルフは子どもから熟年まで誰でもできるスポーツだ。しかも、川淵さんはゴルフが上手だ。ゴルフの指導者としては適任である。

これまでにわたしは、川淵さんと10回以上もゴルフをする機会があった。彼は1ラウンドをつねに70台後半から82までのスコアで回った。ときにはアンダーパーもあった。そして、ドライバーの飛距離では50ヤード近くも置いていかれた。78歳の彼は230ヤード、ひょっとすると250ヤードも飛ばすのである。まったく、許しがたい。暴挙と言いたい。そのうえ、アプローチがうまい。トラブルから脱出するときは冷血ともいえるくらい冷静に対処する。

わたしの方が20歳、年が下だけれど、技術もマナーも元気も冷静さも川淵三郎にはかなわない。

教育者、指導者で、しかも一流プレーヤーの川淵さんからゴルフを学ぶ。これほどぜいたくなことはないと思った。

わたしたちが川淵さんから学ぶべきは技術とメンタルとマナー、この3つである。

※本連載は書籍『川淵キャプテンにゴルフを習う』(野地秩嘉 著)からの抜粋です。