2015年12月6日(日)

「二子玉川 蔦屋家電」1日中居ても飽きない、夢見心地な空間

ヒットするデザイン

PRESIDENT 2015年11月30日号

建築家/デザイナー 池貝知子 構成=田中裕子 撮影=佐藤新也
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一般的な家電店が売りにするのは値段の安さでしょう。理性的に考えれば同じ商品を1円でも安く手に入れたくなるのは当然です。でも今はインターネットで最も安い商品を見つけることができるので、店舗が低価格を追い求めてもかなわない。だから蔦屋家電では「同じ物でもこの場所で買うことで自分の生活がワンランク上がる」と思える空間にデザインすることを最初に決め、「夢見心地な空間」を目指しました。

デザインした人 池貝知子(建築家/デザイナー)

そうはいっても敷地面積は2000坪以上。断片的に演出したところでファンタジーの世界が浮かび上がる規模ではありません。店のエントランスからトイレの中まで、歩いて行けば行くほど新たな発見があるように空間を設計していきました。

まず考えたのが、歩かずにはいられない導線づくり。それが店舗中央の吹き抜けを中心にぐるりと円を描く「ブックストリート」です。この通路を歩いていくとテーマごとに置かれた本と出合います。さらに通路の外側には、「食」のエリアなら調理家電、「美」のエリアなら美容家電というように、本棚のテーマと連動したショップが見えます。道自体も広くなったり狭くなったり緩急がついていて、歩き疲れたらすぐに休める休憩スペースは至る所にある。銀座の道を想像してみてください。道沿いに歩いていくと両脇にデパートや文房具店など、いろんな店を目にするでしょう。歩き疲れたら休憩できる喫茶店も多い。そのように飽きさせない街のつくりが、人を呼び込みます。

朝から晩まで1日中居たとしても、飽きさせないための演出もあります。特に感じてもらいたいのが店内の照明の変化です。実は日中や日没などの時間帯ごとに8種類の光を使い分けています。天気のいい昼間でも、雲が流れると突然暗くなったり光ったりするでしょう。そういう1日の変化を表したかった。

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