問題解決に有効な“思考の可視化”

グループでやれば当然最初はゴタつき、後にさらにゴチャゴチャになる。ところが多数で案を出し合ううちにノードが磨かれ、やがてモデルが明快になるという。他の人のアイデアを元にして、よりよいアイデアを出すようになるためだ。さまざまな観点が集まり統一されることで、より優れたシステムモデルができ上がっていく。さらには、グループで生じた対立を解決するために枝分かれや並行のパターンを取り入れるなど、より組織的な構造が生まれていくだろう。

疑問 ⇒ノードを集める ⇒ノードを改良する ⇒構成を考えなおす ⇒全体像が浮かび上がる

こうして繰り返すうちにパターンが見えるようになる。互いにしっかりと理解し意思疎通が図られることで、問題の答えが導き出しやすくなるだろう。図にもみられるように、「トーストのつくり方」という一言を図化すると、それぞれが考えていることがいかに違うかが見て取れるものだ。

ある大きな損失を出した企業の経営陣が3日かけて各システムにいたるまで業務全体の可視化を実行した例がある。その結果、業績は5000万ドル改善され、顧客からの評価もDからAに戻ったという。その理由は……、経営陣の見方が一致したからだ。共同作業で可視化することによって、難しい問題も一気に解決できるようになる。

まずは、単純なトーストの焼き方を書いてみることで、問題の図化のやり方がわかるだろう。そして、そのパターンを応用することで、問題解決の「ノード」と「⇒」の流れがつくれるようになり、問題点が明快になる。

さて、もう一度学生時代にコピーが出回ったノートを思い出してみると……、わかりにくい授業を“可視化”して、その内容や問題点をシェアしてくれていたことに気づくはずだ。問題に出くわしたときも、まずは解決したい問題や伝えたい内容を“絵”にしてフローをつくってみたい。これで、驚くほど問題点がよくわかり、思考のシェアが容易になり、問題解決の糸口も見つけやすくなるはずだ。

[脚注・参考資料]
Tom Wujec, Draw Toast , TEDGlobal 2013 Filmed Jun 2013

【関連記事】
トヨタ式「5回のなぜ」でトラブル原因を因数分解
なぜ、良品計画は手描きイラストを多用するのか
「マッサン」後継者たちの高度なコミュニケーション術
なぜ「気の合わない人」との雑談が大切か
なぜ、頭で考えるより紙に書き出すほうがいいのか?