役職と給与水準は切り離しておく方が無難

【2】役職・給与・賞与

創業期には、役職バブルが発生します。たとえば、3人で始めた会社なら、スタート時は3人の社員全員が取締役、というケースもあります。社員数が増えていく過程でも、対外的に重みを持たせるために、役職を乱発することはよく見られますし、それ自体は決して悪いことではありません。

その場合、役職と給与水準を結びつけるのは危険です。中には、若くして役職が付くことで、「自分は部長なのに、どうしてこんなに給与が安いのか」といった勘違いをする人が現れてきます。

また、創業期には即戦力を求めるため、経験者採用が中心となります。中途採用の場合、前職での年収を基にして給与決定することも多く、入社後の活躍度合とのギャップが発生しやすくなります。

そこで、賃金の決定軸として「自社での貢献度」を中心に置き、定期的に給与の見直しを行うスタイルがよいでしょう。たとえば年1回、役員(幹部)メンバーが集まり、全社員の「貢献度に基づく給与判定会議」を行ってはいかがでしょうか。社員が数十名程度であれば、これが一番確実な方法です。

貢献度と比較し、引き上げるべき人は昇給し、引き下げるべき人は減給します。ただし、減給は慎重に行わないといけません。イエローカードのように、1年目は警告だけに留めるようなルール設定でもよいと思います。また、1年間が長すぎるなら、この作業を半年ごとに行っても構いません。

あるいは、月給水準は全体的に抑え目にしておき、毎期の業績や各人の貢献度は賞与で清算するという方式も有効でしょう。ストックオプション・株式報酬などは、手間がかかることや、無用な株式分散を避けるためにも、IPO準備のタイミングくらいからで十分だと思います。