患者は自分から情報を求めるべし

入院にあたって、「ATLの生存期間中央値は11カ月」と聞かされたときも、その場ではショックを受けましたが、「自分は絶対、その後も生きているほうの半分に入る」と考え、すぐに立ち直りました。

私は自分の病気がどんな性質なのか知りたかったし、治療内容についても把握しておきたかったので、情報を集めることには貪欲でした。入院した東大の医科研にも、自分から電話したのです。おかげで最高の医療スタッフのみなさんに巡り合えたわけですから、やはり自分から情報を求めることは大切だと感じています。

骨髄移植の際にもセカンドオピニオンを求めて、慶應義塾大学医学部の岡本真一郎先生にお話を伺っています。そのとき「その治療法は確かに有効です」と、太鼓判を押してもらい、とても勇気づけられました。

私は幸運にも、最初の相談でも、入院してからの抗がん剤治療でも、骨髄移植でも、信頼できる医師に出会うことができました。日本でも最高の医療施設に入ったおかげですが、一方で信頼関係とは、双方向性のものでもあります。信頼関係は情報を共有することで生まれてきます。つまり患者は医師に、医師は患者に、それぞれ自分の持っている情報を正しく伝える必要があるのです。

抗がん剤治療でがん細胞が減ったときには、「骨髄移植は不要ではないか」と思われたので、主治医の先生にそう率直に質問しました。すると先生は「化学療法だけでは、必ず再発する。だから移植が必要なのです」と理由をきちんと説明してくれたので、結果としてお互いの信頼関係が強まることになりました。