学問のための英語という位置づけ

【三宅】本間さんは、その中でどのような役割を担っておられたのですか。比較的スムーズに開発できたのか、それとも紆余曲折があったのでしょうか。

【本間】 私自身は2010年から開発チームに統括という立場で参画しました。特に開発初期は、分析結果などを見ながらいろいろな議論がありましたね。難易度設定も初期の思い出深い議論のひとつ。上智大学のように英語で学ぶ環境を整えようとしている大学にとって、テストとはどうあるべきか。日本はあくまでもEFL環境(English as Foreign Language=外国語としての英語)であり、大半の学生にとっては生活の手段としての英語は必要ではない。測るべき能力は、英語で学問をするレディネス(準備)です。

また、学習指導要領に沿った内容でなければ日本の高校生にとって意味がなく、大学入学を目指す高校生の英語能力をきちんと測るテストでなければならない。しかし、実際の難易度設計は言葉で言うほど簡単ではありませんでした。簡単すぎず、難しすぎず。定性的および定量的な調査と改善を重ね完成させました。

【三宅】なるほど、それは興味深いですね。「TEAP」は、大学で英語をアカデミックに学ぶために、あるいは英語で議論するために、何が必要かと。そういったものをきちんと検証したうえで、それを測るテストに仕上げたということですね。

【本間】学問をするという場面を、はっきりとテストで表現して、テストの現場にも反映をさせて、読む文章にしても、リスニングの場面設定にしても、大学で学問するということをはっきりと設定したものになっています。

(構成=岡村繁雄)
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