教員試験に合格、教師を目指していたが

【三宅義和・イーオン社長】公益財団法人日本英語検定協会(英検協会)の制作部・英語教育研究センター部長の本間充さんに来ていただきました。実用英語技能検定(英検)と言えば、もう日本では知らない人はいないテストで、戦後の日本の英語教育の中で、英検が果たしてきた役割は非常に大きいと思います。そこで今日は、いま話題になっている「TEAP(アカデミック英語能力判定試験)」というテストを中心に、話をお聞きしたいと思います。

まず、本間さんご自身の英語学習歴、なぜ英語が好きに、そして得意になったのか。大学ではESSで活躍されたそうですが、若き日の本間さんと英語との出合いについて、お聞きできますか。

【本間充・日本英語検定協会制作部・英語教育研究センター部長】私の父親が高校の英語の教員でした。それで、小さいころから、身の周りには英字新聞とか、雑誌の『TIME』とか、ペーパーバックスがあって、英語というものが、手の届くところに溢れていた環境でした。ただ、父親は私には英語を教えないで、姉には小学校のときから教えていたんです。なぜかと言うと、私にも小学生のときに教えようとしたらしいのですが、どうしても「テレビジョン」が発音できなくあきらめたそうです(笑)。

だから、私が父親から教わったのは、中学校入学の1カ月前からです。毎週土日は3時間、教科書と基礎英語を徹底的に叩き込まれました。それで英語が得意になっていきましたね。ただ、私は親父と遊んでいたような感覚でした。それが大きかったですね。

【三宅】そのまま順調に中学、高校。さらに、大学生になっても英語は得意だったのですか。

【本間】そうですね。大学のESS(英語会)ではスピーチとドラマを中心にやっていました。ドラマでは同期に別所哲也さんがいて、彼がチーフをやっていました。東京英語劇連盟(MP)にも参加し、そのときに演出の奈良橋陽子さんや川平慈英さん、藤田朋子さんとの出会いがありました。先日、お亡くなりになりましたけど、今井雅之さんも演出助手として奈良橋さんのお手伝いをされていて、彼の情熱には大きな影響を受けました。

MPは、オール・イン・イングリッシュのリハーサルをしていました。そこでかなり英語の洗礼を受けた気がします。それまで、日本語が中心だったのが、英語になった。それが土台になったのか、大学生の全日本英語弁論大会に出て幸運にも優勝できました。

【三宅】若いころに、もう本格的な英語力を身につけられたわけですね。大学卒業後の進路では、学校の教員試験にも合格していらっしゃって、新潟県での採用も決まっていたということですが、東京で働くことを選択され、財団法人日本英語教育協会(英教)に就職された理由を教えてください。

【本間】たまたま入社試験を受けたら、採用通知をいただきました。これはぜひ働きたいと思いましたが、実は1、2年、働いてみて、新潟に戻ろうというつもりでした。ですが、いまはなくなってしまった「百万人の英語」の編集部に配属されたり、ラジオ番組のディレクターを務めたり、仕事がだんだん面白くなっていきました。その後、一時期、子ども用の英語教育プログラムの開発に携わりましたが、やがて、古巣の英教が日本英語検定協会に合併されることになり、いまの職場に在籍しているということです。