「第二の故郷」ができるかも?

ところで今までは米や牛肉、果物など食品が中心だったお礼の品に、最近、続々とバリエーションが生まれているという。

「レノボの工場がある山形県米沢市や、iiyamaという液晶ブランド発祥の地の長野県飯山市などは、お礼の品にパソコンを送っています。カシオの工場がある岩手県北上市では、倉庫から出てきた貴重な古いカシオの腕時計を限定で出したりと、工業製品も増えているのです」(須永さん)

モノだけでなく、温泉宿泊や田植え体験、カヌー体験など現地での「体験型」も人気を集めている。地元に宿泊してもらうことでお金を落としてもらえるし、その土地に来てもらうことで魅力をアピールすることもできる。ついにはその土地がすっかり気に入って移住してしまう人もいるという。須永さんによれば、ふるさと納税がきっかけで交流が生まれることはしょっちゅうだそうだ。

「ほとんどの自治体ではお礼の品を送るときに町の紹介パンフレットや広報などを同封しています。そういうものを読んでいるうちに、その町に興味や愛着がわくんですね。しかも自治体によっては1度寄付をすると、翌年も『今年もいい梨ができました』なんてメールをくれたりする。そうすると、『この町は高齢化で大変だし、じゃあ今年もまた梨を頼もうか』なんてことになるんです」(須永さん)

こうなると、縁もゆかりもなかった土地に、親戚ができたようなもの。ふるさと納税の楽しみは、「生まれ故郷以外にふるさとをつくる」ところにもあるのだ。