いま国内企業にとって、事業承継が大きな課題となっている。あおぞら銀行はこの課題に対し、“経営力の強化”という独自の視点に基づいた「経営承継サポートプログラム『襷(たすき)』」の提供を開始した。このプログラムでは、株式会社エスネットワークス、税理士法人エスネットワークスとタッグを組み、ヒト・モノ・カネの包括的な支援を行う。現場で一丸となって顧客のニーズに応える面々に、成功する事業承継のポイントを語り合ってもらった。 

(名前が青色はあおぞら銀行、赤色はエスネットワークスのスタッフ)

将来ビジョンの理解が
サポートのスタート

長谷川圭介
あおぞら銀行 経営企画部
ビジネスイノベーションオフィス マネージャー

【長谷川】今年1月の相続税制改正もあり、中堅・中小企業の事業承継への関心がさらに高まっています。関連セミナーも多数開催され、金融機関やコンサルティング会社をはじめ多くの機関が各種サービスを提供するようになるなかで、承継問題で最も留意すべき点は何だとお考えになりますか。

【下村】株式会社エスネットワークスでは、コンサルティング会社として数々の案件を手がけるなかで、「お客さま企業が将来も安定して事業を維持・展開できる体制をつくること」をより重視してきました。事業承継では相続税対策などオーナーさま個人の資産承継の部分が注目されがちですが、会社を永続させるには“経営そのもの”をしっかり受け継いでいく必要があります。そこでは「経営者さまご自身が会社の将来をどう考えているか」が最も重要になりますから、ご意向を丁寧に伺うところからスタートしています。

内部孝広
あおぞら銀行 名古屋支店
営業第一課 課長代理

【内部】私も同感です。経営の承継に際しては、経営者さまの思いをしっかりと踏まえ、会社経営全体から見て何が必要なのかということを常に考えながら進めることが大事だと思います。その上で、専門的な手法やノウハウを活用する。銀行も会社経営の課題を共有し、ともに解決策を考えていく役割が求められていると感じます。

【井上】我々も、お客さま企業に常駐するなど現場に即したサポートを提供してきました。「企業経営そのものをサポートする」という考えは、今回のプログラムの提供の趣旨と大いに合致していると考えています。

経営の安定性を高める
事業承継を後押し

佐藤真弓
あおぞら銀行 仙台支店
営業第一課 課長代理

【佐藤】事業の承継に際して「経営力を高める」というプログラムの趣旨には、事業再生やM&Aなどをファイナンス面から支えてきた当行の歴史も生きていると感じます。こうしたファイナンス分野では特に、企業の経営そのものに着目するからです。経営承継では「後継者が安心して事業を運営できる環境をどう築くか」が鍵になりますから、例えば「株式集約による経営基盤強化」といった資本政策の議論も避けては通れません。当行の蓄積したノウハウをお役立ていただけるのではないかと感じます。

【井上】経営の安定化には意思決定の安定が欠かせませんので、確かに株式をどう集約させるかが重要ですね。

【有野】最近、お客さまから株式分散のリスクをどう考えるべきかというご質問を受けました。公平性の観点から奥様とご子息数名に均等に割り当てることをお考えだったのですが、会社の運営を考えれば、議決権のある株式が分散することはかえって不安定要素にもなる。実際の経営を担うのは誰かを考え、株式集約を行い、経営上の意思決定を円滑化することも大事なんですね。

【佐藤】信頼できる相手に株式を託しても、数十年後には状況が変わるかもしれない。本意とは異なる結果を招く可能性もゼロではないわけですね。