▼プレゼンはオープニングで大きな差がつく
▽一般的なオープニング

皆さん、こんにちは。今日は雨で足元が悪い中、講演会にお越しいただき、ありがとうございます。この講演会を主催してくださった○○社の○○様には、お忙しい中、数々のご無理を申し上げたにもかかわらず、素晴らしいセッティングをしていただいたことに、心より御礼申し上げます。

先輩方を差し置いて、私のような若輩者がお話しをするのは、誠に僭越であり、恐縮しております。また、私は講演が不慣れなもので、このような場でお話しするときは、いつも緊張してしまいます。万一、見苦しい点がございましても、ご容赦いただけたらと存じます。

リーダーにとって、スピーチやプレゼンテーションは大切です。今日お集まりの多くの皆さんは、社員の前で、お客様の前で、株主の前で、マスコミの前で、話をする機会が数多くあると思います。しかし、最近、ある新聞社が行った、社長500名を対象にしたアンケート調査では、半分の5割の人が、スピーチやプレゼンテーションに苦手意識を持っていることが示されています。

今日は、この調査結果を参考にしながら、スピーチやプレゼンテーションを行う際に大事なことをお話しようと思います。あまり目新しい話はないかもしれませんが、最後までお付き合いいただければ幸いです。

▽TED的オープニング

ここぞというときに、相手の心をつかみ、動かす。皆さんが、責任ある地位に就くほど、こうした力が求められるようになります。そのためには、物事をロジカルに説明することを超えて、人の心を突き動かし、行動に駆り立てる強力なメッセージ発信力が必要となります。

私はかつて、ソニーの盛田昭夫さん、出井伸之さんの直属スタッフとして、スピーチ・ライティングのサポートを行いました。盛田さんは、アメリカとの経済摩擦に直面しましたが、理不尽な主張には真っ向から反論しました。「いつも『勇気、勇気』と自分に言い聞かせているのですよ」と語ってくれたことを思い出します。出井さんは、森内閣の下でIT戦略会議の議長に就任し、「世界最速のインターネット網を整備する」と提言しました。全閣僚と財界首脳が出席する「御前会議」の場でも、正しいと思うことを主張する姿勢を見せてもらいました。

2人のトップのサポートを通じて、私は、リーダーシップの鍵を握るのがメッセージ発信力であることを知りました。いざというときに、瞬時に聴き手を惹き付け、意識と行動に影響を与える、強力なインパクトを持つスピーチやプレゼンテーションを行う力が、いかに大切であるかということを肌で感じました。

今日は、そんな経験を通じて私が学んだ、スピーチやプレゼンテーションの3つの秘訣について、お話ししようと思います。