英語で問われる「読む、書く、聞く、話す」

【三宅】英語に話を進めたいのですが、現在の高校の学習指導要領でも、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの、いわゆる4技能を教えるということが謳われていますし、総合的に英語力を育成することが重要であるという認識はあるのです。

14年9月に出されました「英語教育の在り方に関する有識者会議」の報告を見ましても、4技能の総合的なコミュニケーション能力が適切に評価されるように促すというふうにあります。従来のセンター試験では先ほどからの話にもありますように、リーディングが中心で、リスニングは少しだけありました。スピーキングに関しては、何となく、われわれがずうっと見ておりまして、会話が得意な子は試験でも好成績を残す。

現在も会話形式の出題もありまして、以前よりも随分変わってきていると思います。ただ、あくまでもそれは会話力を間接的に問うものであって、スピーキングのテストではありませんので、そこに大きな隔たりがある。もう今回の大学入試改革では実際にしゃべるテストが入ってきます。しゃべれないと合格できないと理解でよろしいのでしょうか。

【鈴木】まさにそのとおりです。4つのリテラシー、読む、書く、聞く、話すと、これを満遍なく取り入れて、評価していくということですね。

鈴木寛・文部科学大臣補佐官。東京大学・慶應義塾大学教授。

【三宅】それからライティングに関してですが、これも単なるわれわれの若いころの入試の英作文ではなくて、ある程度まとまった文章を書くことが要求されることになると考えていいですか。

【鈴木】それぞれの大学が、どの程度のものを要求してくるのか。そのことと相まって「大学入学希望者学力評価テスト」をどう活用するかでしょう。このテストで十分だという大学もありますし、それでは不十分だから、独自に個別試験でプラスアルファを課すというところと、両方出てくると思いますね。

【三宅】その際、英検とかTOEFL、TOEICといった民間の英語力判定試験を導入することはありえますか。

【鈴木】こうした社会的プラットフォームについては、最大限活用をしていこうということです。例えば、TOEFLは相当ハイレベルで、英単語数でいっても1万とか1万5000語が必要ですから、これは高校学習指導要領が想定しているものとは相当違うわけですね。そうするとこれは難関校中の難関校が使うということになるでしょう。平均的な高校生であれば、別の民間試験というように、うまく使い分けていくということになると思いますね。

【三宅】次に小学校英語ですけれども、小学校の英語活動が3年生に引き下げられる。5年生からは教科になるということです。その目的は何でしょうか。

【鈴木】文科省では11年度から「小学校外国語活動」に取り組んできました。5、6学年で年間35時間、音声を中心に英語に慣れ親しみ、コミュニケーション能力の素地を養おうというものです。これは、やって良かったと思っています。それなら導入を3、4学年からに引き下げようということですね。