2015年10月28日(水)

学習指導要領を変えても教育現場が変わらない理由

三宅義和・イーオン社長とゆかいな仲間たち【第7回 文部科学大臣補佐官 中編】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
三宅 義和 みやけ・よしかず
株式会社イーオン代表取締役社長

三宅 義和1951年、岡山県生まれ。大阪大学法学部卒業。85年イーオン入社。人事、社員研修、企業研修などに携わる。その後、教育企画部長、総務部長、イーオン・イースト・ジャパン社長を経て、2014年イーオン社長就任。一般社団法人全国外国語教育振興協会元理事、NPO法人小学校英語指導者認定協議会理事。趣味は、読書、英語音読、ピアノ、合氣道。

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三宅義和・イーオン社長 構成=岡村繁雄 撮影=澁谷高晴
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15歳までは世界一、日本の教育

【三宅義和・イーオン社長】鈴木先生は文部科学副大臣時代にも多くの政策提案をなさっています。なかでも産学共同で大学生を鍛えて人材育成する枠組みを構築しようとしたこと、そのために大学入試改革に非常に積極的だったと記憶しています。

三宅義和・イーオン社長。

【鈴木寛・文部科学大臣補佐官】ご存知のように、小中高というのは学習指導要領に基づいて教育が行われているわけです。現行の学習指導要領には、その方向性が出ていますが、大事なキーワードは思考、判断、表現です。それから、主体性、多様性、共同性と、こういう2つの方向性で2010年代はやってきました。それが、小学校、中学校においては割とうまくいっています、

例えば、12年にOECD(経済協力開発機構)の「PISA調査」。これは3年に1回OECDが15歳向けに行っている国際学力テストで、21世紀型学力を問うものです。暗記力や反復力ではなく、思考力とか判断力を見るテストだと考えてください。それで日本はどうかというと、03年あたりは非常に低迷していました。そのため“PISAショック”という言葉があったぐらいです。

私も副大臣になりまして、いろんな提言をしてきたつもりです。そのいくつかは施策となり、学校の現場はもとより、家庭教育、民間教育ともコラボレーションしてきたという経緯もあります。それぞれの立場から日本の子どもたちを一生懸命育てていただいたお陰で、12年にはPISAの科学的リテラシーで34カ国中1番、読解力1番、数学2番、総合1位となり、日本は先進34カ国中、15歳段階でトップに返り咲くことができました。

【三宅】すばらしいですね。本来なら、そういうニュースはもっとドンドン広まっていいはずです。

【鈴木】そうなんですよ。日本のマスコミは悪い話ばかり伝える(笑)。だから、私がキャンパスで学生に「日本の15歳は学力が高いのか低いのか?」と聞くと、みんな「低い」って答えるんですね。しかし、実際はそうではありません。日本は、トップ奪回を目標に頑張って、そこまできました。ただ、課題もあります。それは学ぶ意欲、あるいは自己肯定感、これがいつもOECDの34カ国中ブービー。下から2番目です。

【三宅】それはちょっと悲しいですね。最大の理由は何ですか。

【鈴木】これはやっぱり読書です。いま、小学生の96%は本を読みます。そういう指導をやってきました。学校では「朝読」という取り組みを相当しっかりやりました。不読者率という言い方がありますが、1ヵ月に1冊も本を読まない子どもは、4%を切ります。ところが、高校生になると5割が不読者になってしまう。

これは本来なら逆ですよね。読むことは、書くことにつながり、話すことにつながり、聞くことにつながると、私は考えています。本を読めば、それを感想文を書きますね。あるいは読んだ後に、クラスでみんなで意見交換をしますね。そういう意味で、やっぱり読むということはものすごく大事と言っていいでしょう。

15歳までは世界一の日本の教育が、高校になるとかなりそこで伸び悩み、おそらく大学では、もっと残念なことになっています。つまり、15歳の“金の卵”を高校・大学で孵化させ、雛鳥から立派な成鳥にさせられない。その可能性を伸ばせていないどころか、それを潰しているということが、わが国の高等教育です。だから、高校と大学をやっぱり集中的に改革しなきゃいけないというのが、私の現状認識です。

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