仕事で窮地に立たされたとき、思わぬ解決策を導き出して、大きな成果をもたらす人たちがいる。彼らは、なにかをひらめいた瞬間、「無意識のうちに瞑想状態に入っている」のだと沢井氏は説明する。

さわい・あつひろ●1939年、大阪生まれ。京都大学英文科卒。京都産業大学名誉教授。18歳のとき、中村天風からヨーガ式の瞑想を学び、51歳で開眼。編著書に『心を空にする~中村天風「心身統一法」の真髄』、訳書に『レトキ詩集』などがある。
沢井淳弘●さわい・あつひろ 1939年、大阪生まれ。京都大学英文科卒。京都産業大学名誉教授。18歳のとき、中村天風からヨーガ式の瞑想を学び、51歳で開眼。編著書に『心を空にする~中村天風「心身統一法」の真髄』、訳書に『レトキ詩集』などがある。

瞑想とは、「なにも考えず、なにも思わない」状態のこと。意識して瞑想状態に入ることができれば、苦しみや悩みを乗り越える潜在的な力が生まれ、プラス思考になったり、よいアイデアが浮かぶといった、さまざまな効果があるという。

「大きな仕事を任されたとき、余計な雑念を取り払って、心を澄まして仕事に取りかかれる人は優秀な人です。でも集中する方法さえつかめれば、集中から解放された瞬間に、誰でも自然に瞑想状態に入れるのです。最初は心を静かにしてリラックスする、それだけでいいんですよ。毎日20~30分、意識して続けていると、だんだん心が洗われるのがわかってきます。取りかかる時間の長さではなく、静けさの深さが大事なんです」

瞑想に入るのは、方法さえ妥当であれば、決して難しいことではない。本書は瞑想の達人だった中村天風の教えをもとに、一番効果的な方法を誰にでもわかりやすく解説してくれる。いわば人生を「成功」に導くための実用書であり、瞑想はその方法論にすぎない。

「中村天風先生のまわりには事業で成功するためのヒントを得ようと、偉大な政治家や実業家が大勢集まっていました。先生は『お寺で座禅を組んでいるような人生は幸せではない。自分の仕事に生き甲斐を感じ、クリエーティブに生きるのが人として一番の幸せ』だとおっしゃっていました」

仕事を全力で行い、程よく心も休める。そのバランスをうまく保つことで、人生はより豊かになる。「今の世の中、みんな大なり小なり何かしら問題を抱えているんですよね。現代人は複雑な思考をしているから、心がなかなかリラックスできないんです。考えないほうがうまくいくことのほうが多いですよ」と、沢井氏は今の時代だからこそ、瞑想をより強く推薦する。

世の中には瞑想への誤解や偏見があふれているが、自身もはじめは疑いの気持ちが強かったという。それでも続けることでコツをつかみ、充実した生活が送れるようになった。「以前は朝起きたときから今日すべきことで頭がいっぱいになったものです。瞑想をやりはじめてからは、朝起きて何も考えていない自分を発見するんです。その気持ちよさを多くの人に実感してもらいたいです」。

※すべて雑誌掲載当時