上場企業の半数にも上る銘柄を取引停止にすれば、短期的には確かにそれ以上の暴落を止められるかもしれない。しかし株価暴落の局面で換金の自由を奪われた投資家の驚きと怒りは強い。すでに海外投資家は中国の株式市場から脱出すべく動き始めている。暴落防止を狙って強引な行政措置を採っても、投資家が市場から逃げ出せば、市況は長期的にはかえって悪化してしまう。

介入で一時は回復した株価も、ひと月と持たずにまた下げ始めた。9月になって市場はやや落ち着いたが、今後の動向はわからない。

中国政府は、本来なら市場原理に委ねるべきところで株式市場に介入し、株価を人為的に吊り上げたが、結局は不要な混乱を引き起こしただけに終わってしまった。

金融市場は、たとえマーケットの原則に則って調整しようとしても、制御は難しい。まして政治権力が、その原則を無視してマーケットに手を入れても、思い通りにいくはずもない。今回の一件は、市場を制御しようとする共産主義・計画経済的発想の限界を、全世界に露呈させた出来事だったといえる。

為替市場も同様である。15年に入ってから、為替市場では元安・ドル高の流れが続いていた。これに対し、中国の中央銀行である中国人民銀行は、市場の流れに逆らって1日あたり数百億ドルもの資金を投じ、元の基準値を維持するための買い支えを続けてきた。

株価暴落を機に、人民銀は8月11日から3日間だけ、「前日の終値を翌日の基準値とする」という方針を採ったとされる。結果的に元は3日間で4.5%、ドルに対して安くなった。しかしその後、人民銀は再び基準値を固定して、元買い支えを復活させた。

人民銀の元買い支えは、私に言わせれば、中国経済に対して何の益もない愚行といえよう。「SDR(国際通貨基金〈IMF〉の準備金の通貨バスケット)の構成通貨に人民元を採用させるためではないか」という推測がある。要は世界の主要通貨の1つとして認められたい、というわけだが、SDRは実際には取引に使われてもいない。もし本当にそんな見栄やプライドのための買い支えだとしたら、ばかげた話としかいいようがない。