日本一高い地上390メートルの超高層ビル構想

東京駅周辺で、三井不動産、三菱地所の総合不動産二強ががっぷり四つに組んだ再開発事業が繰り広げられようとしている。三菱地所が2027年度までの完成を目指し、総額1兆円を投じ、JR東京駅北側の日本橋口正面に位置する常盤橋街区での大規模再開発事業計画を打ち出したからだ。

同街区は、三井不動産が相次ぎ再開発事業を手掛けている三井の発祥の地、日本橋と目と鼻の先にあり、さながら三井不動産に殴り込みをかけた格好だ。迎え撃つ三井不動産は、20年開催の東京五輪・パラリンピックを視野に入れ、既に日本橋と隣接する八重洲での再開発事業に乗り出しており、両社のガチンコ勝負は避けられない。

三菱地所は日本を代表するビジネス街である東京・丸の内の「大家」として知られる。これまでは都心大規模再開発の先駆けで02年に完成した「丸の内ビルディング」を手始めに、三菱系企業が集まる丸の内の「三菱村」で矢継ぎ早な再開発事業に取り組んできた。その結果、オフィス中心の丸の内を、休日でも賑わう海外高級ブランド店が軒を連ねるショッピング街に変身させた。

ところが、再開発事業を計画する常盤橋街区は、丸の内から線路を跨ぎ、山手線の外側に一歩踏み込んだだけとはいえ、未開の地区だ。その意味で、「内弁慶」の三菱地所が「本丸」を飛び越え、場外戦に挑む歴史的な転機と受け取れる。その意気込みは、再開発事業の目玉に位置付ける地上61階・地下5階建ての地上390メートルの超高層ビルが27年度の完成時に、大阪市の「あべのハルカス」(高さ300メートル)を抜き、日本一高いビルとする計画にうかがえる。