長期的な管理職研修でグローバルリーダーを育成する

企業を急速にグローバル化させるには、もちろん英語だけでは足りない。組織面、制度面でも大きく変化した。このような大きな組織変革を進めるうえで、鍵になるのはマネジャー層(管理職)の意識改革だ。

統合後、マネジャー層に人事面で大きな権限を持たせた。「従来の日本型組織では、人材管理、特に育成、キャリア開発は人事部が中心になって行われていることが多かったのです。しかし新会社では、欧米のように人事面の責任と裁量を現場のマネジャーに持たせる形になっています。マネジャーは人材育成、キャリア開発、さらには採用、配置まで総合的に管理していく立場となったわけです」(中野氏)。

もちろん、そこまでの権限を持つようになったマネジャー層自身の意識改革とマネジメント力向上のため、部長層約150人に対し、統合後1年半をかけて、世界約20カ国のコカ・コーラボトラーで導入されているというリーダーシップ研修プログラムが行われている。このプログラムは、「事業戦略の実行」「チームパフォーマンスの向上」「チェンジマネジメント」という3つのテーマを、実践的な課題に取り組むなかで深めていくアクションラーニング重視の研修。内容は、経営戦略の理解、その実行から部下の人材管理、ダイバーシティマネジメント、国際的コミュニケーション、変革時の課題対応など多岐にわたるが、どれも「グローバルに働く」ことが前提。実際に研修に参加したある部長はこう語る。

「目から鱗の内容ばかりでした。プレゼンの仕方、会議での意見の発表方法などからして違う。さらに、会社の経営戦略をきちんと理解し、それを具体的に『部下がこういう問題に当たったら……』と考えるケーススタディもします。決まった答えはなくても、マネジャー同士でどうしたらいいか話し合うことも、とても勉強になりました」

1週間の集合研修が3回あり、その間も1班6人に割り振られたメンバーが集まり、グループ課題に取り組む。支社や専門業務が異なる旧4社のマネジャー同士がこうして交流することで、新たな関係構築にも寄与している。

「この研修プログラムの目的は多角的なリーダーシップ力の強化と、統合直後の横のつながり形成。それに外国籍トップとの関係強化です。変革現場の中心となるマネジャー同士が共に考え、話し合い、支え合える場を提供しています」(中野氏)