すっぴんで女を休み、心のデトックス

彼女たちにネットカフェで出会いはあるのか? 出会いは期待しているか? という質問もぶつけてみたが、即答で「NO」だったのも頷ける。自身も漫画好きで、時々プライベートでネットカフェを利用するという広報担当者はこう話す。

「ネットカフェで“出会い”は聞いたことがないですね。ドリンクバーやオープン席で利用客の間で会話が交わされる、というのもまず聞きません。ここにいる間だけは人と接せず1人の時間を楽しみたい、誰にも邪魔されず漫画を読みたいという方が来られると思うんです」

そういえば、先述のB子さんは夫と2人暮らし。家にいると夫に話しかけられるし家事をせざるを得ず、なかなか自分の世界に入り込めないだろう。漫画喫茶常連の私の友人女性(33歳・独身)も「ウチは実家だから、1人になりたい時に駆け込む」と話していたっけ。

ブースごとに分かれている女性専用席。

そんなことを考えていると、ひょっこり、文化系の香りがする薄化粧の黒髪美女C子さん(25歳・サービス業総合職・彼氏アリ)が入店してきた。磨けばアイドルになりそうな天然美女である。

「今日は彼とスケジュールが合わなかったので来ました。1人の休日は料理をするか、ネットカフェに来ますね。漫画を読んで笑ったり泣いたりすると、スカッとするんです。心のデトックスですね」

Aさん、Bさんは漫画の好みがヤングジャンプなどの青年漫画や歴史漫画だったのに対し、C子さんは『失恋ショコラティエ』(水城せとな作)や『きょうは会社休みます。』(藤村真理)などの少女漫画が好きだというのが新鮮だった。また、「女性専用エリアがある店ではファッション誌や少女漫画を4~5冊読みますね」と話し、女子っぽさが漂ってきた。ただ、C子さんも「1人になりたくて来ているので、出会いなんて考えたこともない」という点では一致していた。

話を聞いた3人を含め、女性専用エリアにいた他の利用客を見ていると、ファッションや雰囲気から漂う女子っぽさに差はあれど、根底には共通して「ここに来るときくらいは人目を気にせず自分の世界に入りたい」という思いがあるようだ。