読まなくてももったいないと思わない

新しい分野のことについて知りたい、と思ったときに、私は入門書数冊と、専門の雑誌を購入します。なぜ複数冊購入するのかというと、1冊だけだと、間違いや偏りがあったときに癖になってしまうからです。

それを解毒するためにも、入門書を数冊買ってきて、パラパラとめくって、ピンと来ないものは除外していきます。そうしているうちに、この本にもほかの本にも書いてあることが浮かびあがり、間違いや重要な部分がわかってきます。

一方で、大学の学部または大学院レベルの教科書やテキストも購入し、まず、参照文献を見ます。参照文献に何度も名前が出てくるような人はその分野のキーパーソンであることがわかりますし、次にあたるべき論文も見つかるからです。

もう1つ、その分野における今の先端はなにか、ということも調べます。例えば、私の専門の経済関係ですと、SSRN(Social Science Research Network)というサイトがあり、ここに無料で読める論文がたくさんあります。ほかにも、学者個人のサイトや、学者の所属する大学のサイトを探すと、相当数の論文が見つかります。

論文を読む際には、ザッと見たら、タイトルと要約を読んで、参照文献を確認します。そうすればだいたい何について書いてあるのかがわかるのです。このように、入門レベルのもので全体像をつかみ、トップレベルのものも把握しておき、距離感を計ります。ですから、専門的な教科書やテキストを購入する際は、参照文献や索引が丁寧なものを少なくとも1冊は購入します。

書籍を購入しても、読まなかった、ということは多々あります。でも、私は用が足りたのだと思っています。

「買ったから読まなければもったいない」という考えは、情報としての本との付き合い方として賢くないと感じるからです。たとえばちょっと歯ごたえのある本で、読了に4時間費やさなければならないとしたら、その4時間分が浮くわけです。

もう1つ、本の付き合い方として申し上げておくと、私は書籍を電子書籍として読めるように、断裁してスキャナーで取り込み、PDF化しています。かさ張らずに持ち歩け、検索ができるという利便性はもちろんですが、ページをめくる紙の本より、目を動かさないで済みますから、早く読めます。例えば、1ページを2秒で読み、全体像を把握してから、あらためて必要なところを読む、ということもできます。