国際的なネットワークを持つアルカイダ

一方、アルカイダは土着の組織ではなく、イスラム主義を標榜する国際的なネットワーク。アルカイダは「基地」の意味で、自分たちの組織を「ジハードの基地」ととらえている。アルカイダのネットワークにはさまざまな国・地域の人々が参加したから、国境を跨いだグローバルな過激派組織となった。

このアルカイダが2000年代半ば、大きく変貌した。きっかけは01年9月11日に、アルカイダが起こしたアメリカ同時多発テロ事件(いわゆる9.11事件)。アメリカはこれ以降、世界中のイスラム過激派を壊滅させるために対テロ戦争に打って出る。アメリカの徹底的な攻撃でアルカイダは壊滅的な打撃を受け、存亡の危機に瀕した。その結果、国際テロ組織のアルカイダは組織が生き延びるために、「組織なき組織」に変わることを考えたのだ。中枢組織や指揮命令系統を有していると、アメリカに狙われやすくなる。ならばと、それらをなくし、アルカイダはいわば一種のイデオロギーになった。

アルカイダがイデオロギー化していく過程では、インターネットが大きな役割を果たしている。インターネットがあれば、明確な組織がなくても、アルカイダにアクセスでき、イデオロギーを共有できることが大きい。

つまり、アルカイダはイスラム主義という共通のイデオロギーの下に、世界中のイスラム過激派組織がゆるやかに連携する、明確な組織を持たない国際的なネットワークに変貌したのだ。