2015年10月7日(水)

イスラム国は、タリバンやアルカイダとは何が決定的に違うのか

ニュースの謎、国際問題のカラクリ【イスラム国編】

PRESIDENT 2015年1月12日号

著者
池内 恵 いけうち・さとし
東京大学先端科学技術研究センター准教授

池内 恵1973年生まれ。専門はイスラム政治思想。国際日本文化研究センター准教授などを経て2008年より現職。著書に『現代アラブの社会思想――終末論とイスラーム主義』ほか。

東京大学先端科学技術研究センター准教授 池内 恵 構成=平出 浩 撮影=榊 智朗
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アフガニスタンの土着組織がタリバン

突如、中東のシリアとイラクの地域に樹立を宣言したイスラム国。この組織を理解するためには、タリバンとアルカイダというイスラム過激派組織のことを知る必要がある。

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ISISの支配地域

まずタリバン。この組織ができたきっかけは、ソビエト連邦のアフガニスタン侵攻だ。アフガニスタンの内紛に乗じて、1979年にソ連がアフガニスタンに攻め込む。当時、アフガニスタンの共産主義政権が危機に瀕しており、ソ連としては、アフガニスタンがアメリカを中心とした自由主義陣営に取り込まれるのを防ぐ狙いがあった。

そこで起きたのが「反ソ・ジハード(聖戦)」。ソ連に侵略されたアフガニスタンを助ける、という旗印の下、アラブを中心にイスラム社会全体から義勇兵がアフガニスタンに集まった。タリバン結成の起源はここにある。

タリバンの義勇兵の中心を担ったのは、アフガニスタンで最大の人口を持つ民族のパシュトゥン人だ。タリバンのそもそもの意味は「学生」。元来、イスラム神学校で教育・訓練された学生たちで構成されたためである。

つまり、タリバンはもともとアフガニスタンに住む人々が中心となってつくられた土着の過激派組織なのだ。

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