強いリーダーがいる日ロは交渉しやすい

領土問題とはかくも苛烈なものなのだが、軍事的な解決の選択肢を持たない日本は、苦しくても外交に懸けるほかないだろう。とりわけ交渉相手が国内で圧倒的な支持率を誇っているときはチャンスである。

こうした観点から北方領土問題を見れば、地合いは決して悪くない。安倍晋三首相はロシアのプーチン大統領を新しい年には日本に招いて、領土問題に突破口を開きたいと考えている。ともに長期政権を築いて高い支持率を維持しようとしているからだ。

北方領土は1945年、日本がポツダム宣言を受諾して無条件降伏をした後にソ連が占拠し、現在もロシアが実効支配を続けている。日本は戦後、北方四島の一括返還を求めてきたが、日ロの溝は埋まっていない。

だが、北方領土というトゲさえ抜くことができれば、日本とロシアの間には大きな戦略上の摩擦はない。領土問題を解決し、日ロが戦略的な連携に動けば、日本もロシアも、中国という新興の大国の経済的、軍事的風圧を殺ぐことができる。

大局を見据えて外交を展開するには、結局、ナショナリズムという烈風に怯まない政治指導者の存在が不可欠なのである。