<strong>松井英樹さん</strong>(仮名)●朝2時から“自主出勤”しても、ファーストフード店で働くことが「生きがい」と言い切る。本業と副業で“働く喜び”が逆転する時代か。
松井英樹さん(仮名)●朝2時から“自主出勤”しても、ファーストフード店で働くことが「生きがい」と言い切る。本業と副業で“働く喜び”が逆転する時代か。

気軽に始められるガテン系の仕事は、どうだろうか。メーカー勤務の松井英樹さん(仮名・40歳)は、毎週土・日曜日の午前5時から午後2時までマクドナルドで働く。きっかけは、11年前、妻に一軒家をせがまれたことだ。

「当時は手取りが20万円で、ローンは30年組んでも月12万円。無理だと言ったのですが、妻に『男気を見せなさいよ』と言われ、バイトを始めました」

働き始めると、思ったより職場の人が明るく、やる気に満ちていて楽しかった。

「収入は年間77万円ですが、それ以上に働きがいを感じることが嬉しい。本業は本業として大切ですから、差し支えない範囲で働いています。でも、あんまり楽しいので、朝2時頃出社したり(笑)。僕にとっては副業が趣味であり、ストレス解消の場なんです」

ストレスが解消できて、収入も得られる。まさに一石二鳥といえるのだ。通信事務会社で働きつつ、夜は居酒屋でバイトをする北條真衣さん(仮名・28歳)は、「バイト先に住む場所と食費、携帯料金を提供してもらっている」ものの、給料はゼロ。労働時間は19時頃から朝1時頃まで。睡眠時間は4時間程度だ。

「知り合いだった店長が2年前に独立し、『手伝って』と誘われて働き始めた店なので、経営が軌道に乗るまでは仕方ない。多少、だまされた感もありますが……」

IT企業勤務の葉月早苗さん(仮名・40歳)は、テレクラでバイトしている。

「H系じゃない伝言ダイヤルなのに、変なことを言う人もいるんです。そういうときは即切り。結構働いているハズなのに収入は月1万円以下」とため息をつく。

一口に副業といっても、収入プラス知識や経験、人脈も得られる楽しいものもあれば、蟹工船的なものまで様々だ。

「どうせやるなら、趣味を兼ねたもの、興味のあるものがいい。仕事内容を事前に把握することも大切です」(深野さん)

「副業は楽しくないと続かないです」。これは、ほぼ全員が言った感想である。

※すべて雑誌掲載当時

(向井 渉=撮影(パソコン)、的野弘路・熊谷武二・山口典利=撮影(人物))