あらゆる分野でのカスタマイズを目指す

私たちが考える21世紀型のモノづくりとは、「消費者が欲しいものを、欲しいときに、欲しいだけ提供する」ことです。少量オンデマンド生産によって、省資源、省エネルギー、短納期、在庫レスを実現し、最終的にはお客さま1人ひとりへのカスタマイズを目指していきます。

すでに実用化に向けて動き出しているのが、ファッションのパーソナルオーダーです。お客さまは店内のタブレット端末を使って、豊富なスタイルや柄、配色のデータベースから好みの服を選べるだけでなく、店内に設置された大型モニターでバーチャル試着も可能です。最終的に選んだ1着のデータが工場に送られ、生地の裁断から染色、縫製まで1着ずつ行われます。

こうしたカスタマイズ生産は、当社独自のデジタル染色技術「ビスコテックス」をはじめとする生産工程のデジタル化によって可能になりました。このシステムをどうやって世の中に広げていくのかは、今後の課題です。我々だけの力では限界があるため、アパレルブランドや百貨店と組むなど可能性を模索していきたいと考えています。

当社では絹糸を精練する過程で出る天然たんぱく質「セリシン」を使った化粧品を製造・販売しています。そこで百貨店との連携の一環としては、今年5月下旬に高島屋さんと合弁でセリシン配合化粧品の製造・販売を手掛ける会社を設立しました。

工業製品の代表格とも言える自動車にも、今後はカスタマイズのニーズが出てくるのではと考えています。たとえば、車のどこかにオーナーの名前を入れる、そしてオーナーが変われば、新しい名前に入れ替える。そういったカスタマイズサービスの提案を行っています。ほかにも、ハウスメーカーと組んだ外壁や床材、システムキッチン材のカスタマイズなど、あらゆる分野でのカスタマイズを推し進めています。