不正送金の被害にあわないようにするには、そもそもウイルス感染を防ぐことが先決だ。ウイルスの侵入経路は大きく2つある。1つは改ざんされたホームページなどウェブサイトの閲覧。もう1つはメールに添付されたウイルスファイルやメールに貼り付けられた偽URLをクリックすることで起きる。

これを食い止める最も確実な方法は、ネットバンキング専用のPCを作り、そのPCではサイト閲覧や、メールをしないようにすること。ただし、パソコンを複数台持たなければならないため、個人ではなかなか難しいだろう。

すぐに実行できるのは、OS、ブラウザ、ブラウザに付随して使うソフトウェアを常に最新にしておくことだ。システムのアップデートには、脆弱性、つまり外から攻撃しやすい穴を埋める目的がある。更新することで、サイトの閲覧でのウイルス感染の可能性が低くなる。また、見知らぬ相手からのメールに添付されたファイルやURLは、不用意に開かないようにしたい。

ウイルス対策ソフトの導入は鉄則中の鉄則だ。体験版や無料ダウンロードできるものではなく、大手セキュリティ会社の有料ソフトを購入すること。その際、自動更新機能やふるまい検知機能(※)があるか確認したい。新型ウイルスは1日に数万単位で生成されている。自動更新機能があれば、新たなウイルスに速やかに対応し、ふるまい検知があればパターンにないウイルスでもプログラムや動作の怪しさから検知できる。

※ふるまい検知機能…経験則をもとに、ウイルスであるかを予測する機能。ヒューリスティック検知機能ともいう。

(構成=上島寿子)
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