さて、日本電産のことである。73年に創業してから40年。いまのスローガンは「100年後も成長している会社をつくろう」である。そのために何をするか。これが創業社長である私の発想の原点だ。

140周年を迎える2113年までに世の中はどう変わっていくか。その見通しを基に、グループの姿を最適なものに整えていこうと考えている。

いま着手しているのは、従来の連邦型経営から、グループ一体型経営への組織変更だ。たとえば13年には上場子会社だった日本電産コパル、日本電産トーソク、日本電産セイミツを株式交換によって日本電産の完全子会社とした。ほかにも売上高100億円台の孫会社を上場子会社と統合するなど、グループ会社の一体化を進めている。

目的は、世界のマーケットへ出ていくことだ。日本電産の販売先は従来、日本市場がメーンだったが、それがいよいよ世界中に広がってきた。現在、33カ国に233社の連結対象子会社が存在する。日本市場を相手にするだけなら、100億円規模の会社でもそれなりのパフォーマンスを発揮できた。しかし海外拠点が増え、販売だけではなく製造も現地で行うとなると、小さな会社の個別経営では対処できない場面が増えてくる。

たとえば進出先の労務問題、法律問題、知的財産権問題。これらに対処するには、それぞれの専門スタッフが必要だ。しかし社内に担当者が一人しかいないようでは、機動的な対処はおぼつかない。一方、日本電産本体には数十人規模の専門部隊が控えている。グループ全体でそのパワーを引き出すことができれば、相乗効果は大きいだろう。