借金まみれの遺産を相続しない方法

では、借金まみれの遺産を相続してしまわないためにはどうすればよいのでしょうか。

答えは「相続放棄」という手続をすること。相続放棄をすれば、借金を負った遺産を相続しないで済みます。

しかし、相続放棄には期間制限があるのです。

その期間内に相続放棄をしなければ、単純承認と言って借金も含めて遺産を相続したことになってします。

その期間制限は、たった3カ月です。

3カ月以内に、相続財産がプラスかマイナスかを見極め、相続するか、放棄するかを決めなければいけないのです。

裁判所で手続をすれば3カ月以上に延期することはできますが、亡くなったあと、たった3カ月で遺産の全容を調査するということはなかなか難しいもの。

私も、孤独死した方の遺族から相談され、相続手続をすることがあるのですが、探しても通帳が見付からず、近隣の金融機関をしらみつぶしに回って、預金を探すということもあります。そのようなことをしていたら、あっという間に3カ月なんて経ってしまいます。

遺産として何があるか、特に債務についてはどのくらいあるかについては、生前にきちんと整理しておいてもらわないと、残された遺族が大変な目にあってしまうことだってあるのです。

武内優宏(たけうち・ゆうこう)●弁護士。1980年、東京都生まれ。2007年弁護士登録後、2011年に法律事務所アルシエン開設。遺言・相続に関する案件や葬儀社の法律顧問業務など、「終活」に関わる法的問題を多く扱う。オフィシャルサイト http://www.alcien.jp/
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